「死の家の記録」には、多くのさまざまな動物が登場するが、皆、動物の形をした人間である。「カラマーゾフの兄弟」にもペレスヴォンという忘れがたい犬が登場するが、これも犬の形をした虐待された人間である。 ドストエフスキーの目は、本当に人間というもの見て見抜く目で、よくあれほどまでに強烈な興味を人間という... 続きをみる
Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春の新着ブログ記事
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一時代前、結婚は人生の墓場という言葉があったが、最近の新入社員の黒づくめのスーツを見ていると、就職は人生の墓場であるかと思ってしまう。 さて、結婚難で、少子高齢化の時代となり、これは、どうした加減の現象かと問いたくなるところである。明治初期の頃、福沢諭吉は、結婚率の割合と米の相場が連動していること... 続きをみる
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およそ小説に描かれた女性で、これほどかわいい女は他にいないでしょう。オーレンカは自分の意見というものを持たない人間ですが、誰かを好きでいずにはいられない女です。三度結婚しますが、三度とも相手の意見に従い、愛し切ります。最後に寡婦になりますが、ある少年に心底から愛情を注ぎます。トルストイは、この短編... 続きをみる
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チェーホフ晩年の作品です。名篇「桜の園」にも通じる象徴的な筆使いが感じられます。三人姉妹は、悲しい運命と俗悪な日常生活に曝されますが、胸の中に宿る小さな倫理的といってもよい希望の火を決して消しません。劇の最後、三人姉妹がそれぞれに、心の底から絞り出したような偽りのない心情を歌うように語る場面は、ど... 続きをみる
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女優志望の娘ニーナは、名声にあこがれて家を出てある劇団に加わり、男に身をまかせ子どもを産み、やがて、男に捨てられ子どもにも死なれます。絶望したニーナは、自分を気まぐれな漁師に撃たれたかもめのようだと「わたしはかもめ。」と繰り返します。「わたしはかもめ。・・・いいえ、そうじゃないわ。」時を経て、ニー... 続きをみる
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この曲は、昔から気になっていたピアノ曲で、op.111のピアノソナタに心の底から感激し、もうこれ以上のピアノ曲はあるまいと思っていたときに、op.120のこの大曲があると知って驚き、聞きたくてどうしようもなかった。学生時代のことである。 最初にグルダを聞いたが、どうも納得できない。次にブレンデルの... 続きをみる
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アランの「幸福論」の中に、こんな言葉がある。 「自分を信じるやり方に二つある。一つは学校式のやり方で、そのままの自分を信じるということ。もう一つは職場式のやり方で、自分を全く信じないというやり方である。」 どちらも軸となっているのは、自分であることに注目したい。 「ありのままの自分」とか「自分らし... 続きをみる
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ロシアの近代作家チェーホフは医者でもありました。結核を患い44才で亡くなりましたが、その生涯は忍耐に忍耐を重ねた、聖職者のように清潔なものでした。作中のワーニャ叔父さんはどこにでもいるような、さしたる取り柄のない独身の中年男ですが、ある若い美しい夫人に恋をします。ワーニャ叔父さんは結局振られてしま... 続きをみる
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先に載せた、「和風美人2」を加筆修正したものです。2016年に描きました。 モデルは、内緒です。
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司馬には、硬軟入り交じった著作が多いのですが、この本はその司馬の中でも、もっとも硬い方の著作に属するでしょう。剛直な筆致で、平安期の巨人空海を描きますが、著者の筆が思うように伸びず難渋しているのが分かります。筆者は、後記でこの伝説に包まれた巨人弘法大師の衣の翻りでもいいから描いてみたかったと言いま... 続きをみる
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書かれなかったことで 永遠に安らっている 隙間 サント・ヴィクトワール山は あんなにじっくり見つめられて逃げ出したくはなかったろうか 空さえも 動かぬ色を 剥き出しにされ 四角い額の中に収められてしまった 事物はみるみる表皮をはがされ 自然は その驚くべき心を われわれに通わせる そのとき 唐突に... 続きをみる
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ロシア戦役当時、筆者の米国従軍記者が、間近に見た乃木将軍の姿を捉えたものです。記者は、乃木をFather Nogiと親しみを込めて呼び、軍人としての賞賛には一顧も顧みず、漢詩を賞められるとニコリとする乃木の姿に、日本人の持っている武士道精神の精華を見たと言います。明治天皇崩御の際、乃木将軍殉死の一... 続きをみる
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ロシア戦役で最高司令官を務めた乃木希典を描きます。乃木は当時の論文で、「無能論」が書かれるほど戦術家としては取り柄を持たない人でしたが、松陰と同じ師によって教育されたその精神力は巨魁と言ってもいいものでした。有名な二〇三高地への攻撃命令は、まるで明日の馬の準備でもするような口振りで伝えられます。病... 続きをみる
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歴史小説を得意とした著者が、アメリカについて書いた題名通りのデッサンです。ただ、司馬の眼光は鋭く。この不思議な大国の急所をよく見抜き、秀れた筆致でその暗部も明部も鮮やかに描き出してくれます。「普遍性があり便利なモノやコト、もしくは思想を生みつづける地域は地球上にアメリカ以外ないのではないか。」と著... 続きをみる
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戦国期の名将、伊達政宗を描きます。司馬のこの短編は、優に他の伊達政宗に関する書物を凌駕しています。題名は、漢詩もよくした政宗の「馬上少年過ぐ、世は平らかにして白髪多し、残躯は天の許すところ、楽しまずんば又如何せん」からとられています。政宗がこの漢詩を詠んだ時、戦国の世は終わり泰平の世が始まっていま... 続きをみる
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油売りの身から一国の城主にまでなった斎藤道三と稀代の天下人織田信長を描きます。道三の話柄には、多くフィクションが紛れ込んでいる感がありますが、一介の貧民から城主にまで登り詰めた男を描いて、痛快ささえ覚えます。信長については、「信長公記」があるおかげでしょう。写実的な筆致でその人物像を捉えます。戦国... 続きをみる
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数多い司馬の歴史小説の中でも、もっとも優れた著作と言っていいでしょう。吉田松陰と高杉晋作の二人の傑物を描きます。司馬は、日本は鎌倉時代になって、始めて日本人の顔が見えるようになると言っていますが、法然と親鸞の師弟の繋がりを先駆とする日本の師弟関係、時代は経て、幕末の動乱期になっても健在なまま保持さ... 続きをみる
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ある「罪と罰」の本の帯に、「ラスコーリニコフは、偶然、犯した第2の殺人によって自白する。」と書かれていた。だが、これは、大きな誤りであって、ドストエフスキーという詩人の思想を誤解するものである。「罪と罰」が感傷家によって、読まれた一例でもあるだろう。 こう質問してみよう。もし、偶然、リザヴェーダが... 続きをみる
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著者畢生の代表作、小説「楢山節考」です。舞台は、どことも知れないもの深い貧しい山村です。主人公おりんばあさんは、なんでも食いそうな自分の健康できれいな歯が恥ずかしく、石臼にぶつけて自分の歯をガタガタに傷付けたりします。この村は、いつもの食物に事欠くほど貧しいのです。やがて、おりんばあさんが裏山に捨... 続きをみる
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著者は、アイヌ民族出身の政治家でもあった、アイヌの昔話の収集家でした。本書はアイヌの人々によって口承されてきた昔話を著者が日本語に訳したものです。この昔話の中には、殺されたことで、「もう、悪事を重ねなくても良くなった」と自分を殺害した者に礼を言う悪神の話や我が子を焼いて「おいしい、おいしい」と言っ... 続きをみる
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戦後第三の新人と呼ばれた作家の一人、安岡章太郎の代表作です。海辺の施設には、もう何も判別も判断も付かなくなった認知症の主人公の母が入所しています。主人公は母の傍らに付き添い、一夜を明かします。母との思い出を辿っていく中に、主人公は豁然と蒼穹が開けたような大きな心の境地に到達します。志賀直哉の名篇「... 続きをみる
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舞台は、どことも知れない海岸近くの僻村です。主人公は、まるで人間用の蟻地獄の巣のような、とある一軒の砂に囲まれた家の中に、ふとした油断から堕ちてしまいます。自力ではどうしても這い上がれないその家の中には、一人の女がいます。村人達は、この女と一緒になって、この村の人間になるなら出してやろうと告げます... 続きをみる
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日本一の剣豪として知られる宮本武蔵が、その自分の剣術の腕前の拠って来たる所以を書き著したのが本書です。武蔵はここで、「仏法儒道の古語をも借らず」つまり、伝統の力を借りないで、書物を著そうと企てています。こうした試みは、まず無惨な失敗に終わることが通例ですが、武蔵の場合は、少なくともその独創的な思想... 続きをみる
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「イワン・デニーソヴィッチの一日」ソルジェニーツィン 新潮文庫
ソビエト連邦はすでに崩壊しましたが、この小説はそのソビエト連邦崩壊の立役者となった作家ソルジェニーツィンの処女作です。筆者は、ドストエフスキーとは違い、全くの無実の罪で当時のソ連の強制収容所へ十年間、囚人として監獄生活を送りました。そのために文学者の中には、この小説に「死の家の記録」に引き続くロシ... 続きをみる
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「罪と罰」のラスコーリニコフは、自分で抱いた自由思想を全人格で実践した男である。そこには、何の妥協もないのであって、誰にも、それを止める力はなかった。そうして、凶行を遂げた後に、良心の呵責が容赦なく襲いかかっても、自由を追い求める彼の悪魔的な頑強な人格は、それによって、崩壊することはないのである。... 続きをみる
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フレンホーフェルという金持ちの老画家の話です。彼は、熱っぽく絵について語り、瞬く間に一枚の見事な絵を描いてしまうような腕を持っていますが、少し風変わりなところがあります。十年来、ある絵に没頭し、それが自分でも傑作かどうか判じかねているのです。ある機会があって、思い切ってその絵を信頼している画家の仲... 続きをみる
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幾重にも織り巡らされた物語の筋が、最高潮を迎えて、一挙に一点に集中し、破局します。リアリズム作家バルザックの苦り切った顔が見えるようです。バルザックは、自分のすべての作品群を、ダンテが自分の「神曲」をコメディーと呼んだのにあやかり、「人間喜劇」と名付けました。この「幻滅」は、その「人間喜劇」の中で... 続きをみる
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主人公のバルタザールは、科学の「絶対」に憑かれた男です。妻は足の悪い身体障害者ですが、夫のバルタザールのことを愛しきっています。バルタザールは時折、家族のことを顧みはしますが、科学の実験のために、家のほとんどの財産を蕩尽してしまいます。その間に妻は亡くなってしまいますが、見かねた娘がバルタザールに... 続きをみる
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ウジェニーの家は葡萄作りで収入を得ていて、非常な金持ちです。これはウジェニーの父が、本物の守銭奴であるためで、父は、家族全員、召使いにも爪に火をともすような暮らしを強制させます。これほど頑丈な守銭奴の性格の持ち主は、どの小説にも見られないと言っていいでしょう。妻がどうなろうと娘のウジェニーがどうな... 続きをみる
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バルザックの中では、比較的短い小説ですが、強い感動を受けずにはいない傑作です。話は、二人の子どもを連れた若く美しい未亡人が誰とも付き合わず、ざくろ屋敷で行い澄ましているところから始まります。なぜ、未亡人は誰とも付き合おうとしないのか。その理由は、読み進むうちに明らかになりますが、物語の末尾は、どの... 続きをみる
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フランスの哲学者、アンリ・ベルクソンです。「創造的進化」の著作で知られていますが、その顔がよく知られている人ではないようです。じつに、端正な顔立ちをした人で、顔を見ただけで、とても深い知性の持ち主だと、感じられる顔です。 この人は、ユダヤ系の血を引いている哲学者で、ユングが、現代にも通用する哲学者... 続きをみる
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バルザックは51才で亡くなりましたが、創作意欲は実に逞しく膨大な量の小説を後世に残しました。この「谷間の百合」はそのバルザックの小説の中でも、「ゴリオ爺さん」と並んで、最高傑作と目されるものです。舞踏会で出会った美しいモルソフ伯爵夫人に恋をしてしまった純情な青年フェリックスは、夢がかない夫人とつき... 続きをみる
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モーツァルトの父レオポルトは、自分の息子は天才に違いないと、モーツァルトがごく幼い頃から、その手紙を後世のために取って置くように家人たちに命じました。レオポルト亡き後も、その遺訓は守られ、わたしたちは現在、膨大な量のモーツァルトの手紙を読むことができます。けれども、その手紙は、モーツァルトの音楽の... 続きをみる
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生きのいい言葉はないか プロ野球投手の弓のように撓る身体からうなりをあげて 捕手のミットにズンと受け取められる 硬式ボールのような 手が赤く腫れ上がるくらいの手応えのある 確かな言葉を それは単なる 記号でも 観念でも プロテストでもなく 一人立ちした 言葉そのもの 象徴 いやそのような言葉ではな... 続きをみる
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あまり、知られているとは言いがたいですが、日本を代表するピアニストです。 特に、モーツァルトの演奏に定評があります。この人のモーツァルトは、とてもよく聴いています。 2015年に描きました。
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「ドン・ジョバンニ 音楽的エロスについて」キルケゴール 白水uブックス
デンマークの哲学者キルケゴールの秀抜なモーツァルト論です。「音楽的エロスについて」という副題がついています。特に「ドン・ジョヴァンニ」を酷愛した筆者が、「石が語り始めようとする前に、私は語り始めなければならい。」と音楽について正確に語ることの不可能と、またその必然性とを表した有名な言葉で、モーツァ... 続きをみる
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和風の美人を描いてみたいと思い、描きました。モデルは秘密です。 2015年作です。 ※失敗作ですので、画像は削除させて頂きました
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雨上がり 濁流は流れる たくましい遡上を続ける魚群を 孕みながら 鮮明な絵に描かれていたのは 風 知る人もない町の月明かり ああ 運命はわたしに諦念を贈ってくるのだろうか 優雅にも崩落していく女たちを 目の当たりにして
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近代科学の祖、デカルトの代表作です。デカルトはパスカルと同時代人で面識もありますが、両者はまるで違った人物です。パスカルはカトリックの天才と言っていい人でしたが、デカルトは方法の天才と言っていいでしょう。デカルトは若年にして、哲学上の大発見をし、その後、長い年月をかけて、その発見をするにはどうした... 続きをみる
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作者の中島敦は若年で亡くなりましたが、漢文調の簡潔で力強い文章を得意とし、さまざまな格調の高い小説を残しました。この本に収められている短編は、どれも完成度の高い、何回もの再読に耐える、古典の名に値する名篇です。囚われの身となった「李陵」が、鬱屈を晴らそうと馬で駆けて行く場面は雄渾ささえ感じます。「... 続きをみる
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ゴッホは画家ですが、弟のテオや友人に宛てて、非常に多くの手紙を残していたことはあまり知られていません。しかも、その多くの手紙は、ゴッホの多くの絵と同じくらいの、またそれ以上の文学的な価値を持ったものだとなると驚きを増す人は多いことでしょう。ゴッホの絵が、誰の真似も追従も不可能な、断固たる芸術的な価... 続きをみる
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町の灯が星のかがやきを消してしまうように 光はじつに多くのものをかくした いつも控え目に片隅に埃をかぶって あまりに手近なあまりにあたりまえなもの 手垢に汚れた古本のように わざわざ取り出して見ることもないくらい 喜びは孕み 悲しみは生む アンナ・マグダレーナ・バッハのように 単純な生活の真実な感... 続きをみる
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日本一の批評家と言われた、するどさと優しさがみごとに両立している人、文芸評論家の「小林秀雄」です。 この人の本には、じつにお世話になりました。小林秀雄全集は二つ持っています。何回読んでも、新しいい発見のある文章で、飽きることがありません。この人の本は、もはや、古典と言って良いでしょう。ようやく、得... 続きをみる
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教育者の資質としての一つに、どれだけ大きな矛盾を抱えられるかということがある。 昨日、言っていたことと今日、言っていることと違うと気にしているようでは駄目である。むしろ、進んで今日言っていたこととは、矛盾することを明日言うべきである。 何も、でたらめを言えば良いと言っているのではない。 ガンジーの... 続きをみる
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一時代前に、一世を風靡した小さな名言集です。撰者のかんがえとしては、こうした簡便な本から、引用された文章を読んで、当の本を読んだ気になるのは、どうかとは思いますが。この本から、さらに孫引きされた言葉が、一人歩きしている感がありますので、一言しておきたいと思います。この本には、寺山の意訳がかなりあり... 続きをみる
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一般的に、あまり顔と名が知られた人ではありませんが、 フランス象徴派に区分けされている詩人、「アルチュール・ランボー」の若い頃の写真からの模写です。ランボーには写真がわずかしか残っていません。 わたしの敬愛する小林秀雄の影響もあり、学生時代、目まいのするような難解な,、けれどもところどころ強く輝く... 続きをみる
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菊池寛の残した唯一の自伝ですが、題名の通り、自分の子どもの頃のしかも「万引き」をしていた自分の悪さを中心に書いた破格の半自叙伝です。作者の良いところは、まるでと言っていいくらい出て来ません。写実的に描かれた子どもの頃の悪事は、作者の鋭敏な心情をずいぶん傷付けたに違いないのですが、読者には「万引き」... 続きをみる
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有名なチャーチルの写真を絵にしてみました。 チャーチルは、ブルドッグ顔と言われていますが、 そのことは、気にせずに描きました。 これは、去年、描いたものです。
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古代ギリシアの賢人、テオプラストスによる性格論です。巻頭の人物には、「空とぼけ」をして、言ってみれば、自分で自身を欺いて、利益を得ようとする人間が描かれています。性格でも、悪い性格の人間は、テオプラストスによってほぼすべて描き出されている感があります。では、良い性格の人間はとなるとテオプラストスは... 続きをみる
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近代の小説家、井伏鱒二の唯一の詩集です。小説が書けなくなったときの厄除けに書いた詩群で、それで、「厄除け詩集」とつけたと言っていますが、その内容から見ても、井伏が詩人としても抜群の素質の持ち主であったことを窺わせます。漢詩を現代語訳した詩「この盃を承けてくれ、どうぞなみなみ注がせておくれ、花に嵐の... 続きをみる
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やはり、2015年に描きました。この年は、何故か画を描くことに夢中でした。 やや、和風のオードリーになったと思います。 初めて描いた若い女性の絵です。
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2015年に描いた水彩画です。 これは、気持ちよく描けました。 一番下の葉っぱの赤い2つの点が、ミソです。 語学が堪能な友人によると、「ズアオアトリ」が正式名称だそうなので、「ド」を「ト」と濁らない名前に変えました。
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演劇の世界で活躍した著者は、短詩型もよくしました。この本はその寺山の短歌俳句集です。題名の由来となった「マッチする束の間海に霧深し身すつるほどの祖国はありや」の歌も収められています。終戦直後の日本人の複雑な心境が読み込まれていると言っていいでしょう。寺山の詩歌は音楽的で独特の韻律を持ったものです。... 続きをみる
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「海潮音」が文語調であったのに対し、この訳詩集は多くは口語調の詩として、さらに新しい時代の文学に資するために書かれました。やはり、フランスの詩が多く訳されました。「巷に雨の降るごとく、われの心に涙ふる」のヴェルレーヌの詩を訳した詩編は多くの人々に愛唱されました。「海潮音」と比べてみると、格段に近代... 続きをみる
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昔話の大家でもある河合隼雄が、長年にわたる研究の成果として世に出した書物です。そのためか本書は、分かり易いと定評のある、河合隼雄の本の中では、かなり難解で理解が困難な本になっています。この本で紹介されている「手なし娘」の話などは、柳田の「日本の昔話」には見えませんが、日本人の心を考える上で欠かせな... 続きをみる
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若い女性の人物画にも、挑戦してみました。「マリリン・モンロー」です。 もっともセックスシンボルらしくないマリリンの写真をネット上から選んで描きました。 2015年に描いたものです。
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グリム童話は岩波文庫にもありますが、わたしはちくま文庫を選びます。訳が良いからです。一見、荒い訳し方に見えますが、物語の真実をそこなわないという配慮がなされた訳です。おなじみの「ヘンゼルとグレーテル」「赤ずきん」「つぐみひめの王」が見えます。女性の成長に欠かすことのできない物語です。「漁師と女房」... 続きをみる
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小高い岩山の細い山道を辿り 頂きに着くと わたしは宇宙に閉じ込められているのを発見した 樫の木の枝を握りながら 空がひたすら青くひたすら高いのがもどかしかった ああ 風が吹いているのだよ ケイ 茶褐色に削り取られた斜面は わたしの怯懦に適切なくぼみを与えてくれた どこにもいく場所がないから わたし... 続きをみる
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この空の安らかなるを初日の出 お正月ゆるくつながる人ありけり 白魚のごとく手動くスマホ上 めでたさに門立ち出でて道行けば車の流れゆるくおだやか 久しくは仰ぎ見ることなかりしを初空しばし眺め入りたる あけましておめでとうございます 今年もどうぞよろしくお願い致します 秀春
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「カール・グスタフ・ユング」です。フロイトと並ぶ深層心理学の巨匠です。2015年に描きました。野外の自然の中で、講演者の話に聞き入っているユングです。 今日は、大晦日ですね。みなさん、良いお年を。(^^)/
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ショスタコーヴィチが気になっていた。この政治的に極めて奇怪な経験をした作曲家は、つい最近まで生きていた現代人だが、ロマン主義でもなく、シュトックハウゼンのような実験的で前衛的な音楽家でもない。 シンフォニー15番はテレビのNHK交響楽団で聞いたのだが、その不思議な音が忘れられなくて、ネットで色々検... 続きをみる
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ここで取り上げられている昔話は西洋のものです。ユング派の心理療法家の著者が、昔話に秘められている意義を明快に引き出してくれます。著者は別の著作で「わたしが人の心を癒やし、救うことさえ出来たりするのは、多くの物語を知っているからである。」と言っています。物語に隠されている力は、われわれが普通に考える... 続きをみる
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実際の効用。 〇気晴らし。(ある田舎のお医者さんは、歳を取ったおばあさんに喫煙を勧める。確か に、刺激にもなるし、気晴らしにはもってこいであろう。) 〇軽度な不眠症状への対処。(刺激物であるにも関わらず、入眠障害に効く。) 〇排便作用。(便秘がちの人には、朗報であろう。) 〇気... 続きをみる
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閑話休題 タバコは、インディカの宗教儀礼で使われていたことを先に書いたが、一般的な見解として、宗教儀礼に使われるようなものに、強烈な毒があるとは、とてもかんがえ難いことである。 イギリスにたばこが渡ったとき、これは、頭に良く効く煙だという噂が立ち、学業に励む子供たちに喫煙させたものでさえある。 現... 続きをみる
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民俗学の泰斗、柳田国男による日本の昔話です。薄い本ですが、実に様々な話が採録されています。日本の山姥のすさまじさを思わせる「牛方と山姥」、日本の知識人が揶揄されているかのような「山父のさとり」、心が満たされない日本の妻の代表のような「飯食わぬ女房」、女性の視点から新しい発見をし、貧しい男が長者にな... 続きをみる
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晩年の志賀は、老練な剣豪のような風貌をしていました。志賀は、日本語から大理石像のような不動の文章をきり出すことに成功しました。ニュアンスが豊富なために、平易な言語で、正確な文章を書くことの難しい日本語の性質と、長年の間、格闘したことのあらわれなのでしょう。その日本語をあくまで生かしきりながら、簡に... 続きをみる
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「志賀直哉」です。 「マザー・テレサ」とほぼ同時期に描きました。 志賀は、タバコを咥えていますが、何もタバコを咥えている写真だけを選んで、描いたわけではありません。ネットに掲載されている写真では、ほとんどの文化人、漱石、芥川、鴎外、柳田國男、小林秀雄、井伏鱒二などタバコを吸っている写真ばかりが載っ... 続きをみる
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閑話休題 あまりに、当たり前なこと過ぎるので、閑話休題として書かせて頂くことにしたい。 まず、現今、タバコの受動喫煙の害というものが取り沙汰されている。ある統計(統計というのは、実は、たいへん恣意的なものなのだが)の推計によるとほぼ1万5千人が肺ガンになるリスクを負っていると言う。 それで、もしそ... 続きをみる
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この絵は、少し曰くがあります。「頂かれた頭」があまりにもダリ風なのに気付いて、何か自分らしいモノが描けないかと思いながら、やはり、18才~19才のときに描いたものなのですが、真ん中の肝心な黄色い人物のところだけを空白にして、三十数年間描いたことさえも忘れて放って置いた絵です。(わたしは、自分で言う... 続きをみる
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芥川は、晩年のある時期を除いては、宗教的な考え方について秀れた見識を有していました。この作品では、布教のために近世日本にやって来た主人公のバテレンを通して、日本人の宗教の有り様を見事にとらえて見せています。短編小説ですから、論理的な説得力を持ったものではありませんが、日本的な宗教の微妙な勘所をたく... 続きをみる
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17才~18才頃描いた水彩画です。そのころに、傾倒していたダリの影響が露骨に出ています。ただ、学生時代を境として、ダリは好きな画家ではなくなりました。 今まで、ずーっと「無題」でしたが、改めて自分のこの絵を見て、この題名に決めました。 ケント紙に描いたので、色の保存状態が、まったく当時のままでした。
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世界最古の英雄叙事詩です。起源は聖書より古いとされ、神話上の人物オデュッセウスが主人公です。「オデュッセイアー」とは「オデュッセウスの物語」という意味です。非常な冒険譚に富んだ物語で、古代ヨーロッパの人々にとって冒険がいかに人生の重要なテーマであったかを窺わせます。一度その歌声を聞いたら、もうその... 続きをみる
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皆さん、見て、お分かりのことと思いますが、ガンジーです。 マハトマという言葉をつける場合もありますが、マハトマは<偉大なる魂>という意味です。何度も描きなおしました。「明日逝くがごとく生活し、永遠に生きるがごとく学べ」というガンジーの言葉をよく思い出します。 因みに、わたしが今まで生きて来て聞いた... 続きをみる
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2年前に描きました。描いている中、まるで、ピカソの絵自身を模写しているような気になりました。
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ホロヴィッツが分かるようになり、とても好きになった作曲家がスクリャービンであった。ホロヴィッツが分からなかった理由は他でもない。このピアニストが実に癖のない理想的なピアニストであることに由来していた。 ピアニストの模範といわれるほど、そのピアノを弾く姿勢から打鍵のタッチに至るまで、隙がまったくない... 続きをみる
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18才の時に描いた「ドストエフスキー」です。 19才にかけて文庫本で出ていたドストエフスキーの本は、ほとんどすべて読み、まるで、別世界に来たかのようでした。 【ほぼ、同時期にモーツァルトの「ジュピター」をエアチェックして、録音したものを聴いて驚愕し、ベームの「ドン・ジョバンニ」全曲版のレコードを、... 続きをみる
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ホンダ自動車の創立者本田宗一郎が、自分の履歴を自伝風にまとめた本です。平明闊達、一読して紙背から春風が吹いて来るような爽快さがあります。ホンダの人柄がものをいっているのでしょう。小さな町工場から身を起こし、世界のホンダにまで育て上げた技術者・実業家としてのみずからの風貌を、なんの飾り気もなく等身大... 続きをみる
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学生時代に描いた「ケインズ」です。経済学部の友人にせがまれて描きました。
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5年ほど前に撮った野良猫の写真です。 写すときに、こちらを向いてくれました。
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仏教経典万巻中第一の書、諸経の王と称される「法華経」です。インドは時間観念を重要視しないお国柄です。そのため、仏教経典もその経典がいつ成立したのか分からないことが多く、また、どれがもっとも重要な教典かの判別もしません。そのために、仏教が中国に渡った際、天台智顗<ちぎ>が教典判釈<きょうてんはんじゃ... 続きをみる
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芥川は、小説の中で自分の姿を見え隠れさせます。それが、初期の頃はピリッとしたエスプリと自嘲の効いたよい味の作品になるのですが、後期になると、やり切れないほどの苦い後味を感じさせるものになっていきます。この「蜜柑」では、世間の塵埃にまみれた自分というテーマは相変わらずの芥川ですが、はじめのうちはがさ... 続きをみる
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頭の働きは悪く、無教養だが大金持ちの町人ジュールダンは、貴族になりたくてしようがありません。貴族の真似をして、じつにさまざまな習い事に手を出します。ついには、娘も貴族でなければ、嫁にやらないと言い出しますが、ジュールダンは、貴族のしたたかさに手もなくやられてしまいます。観客はその有り様に抱腹絶倒し... 続きをみる
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皆さんご存じのマザー・テレサです。この絵は3年ほど前に描きました。 描いている中に、この人はすごい美人だと気が付きました。
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1991年に描いた「ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ」です。 この人は総理大臣でもあり、詩人でもあり、科学者でもあった「総合の天才」だったと思っています。
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グールドの代名詞のような曲だが、グールドのこの曲の演奏がなぜこうも現代人に訴えかける力を持っているのか、わたしには不思議なのである。 まず、このゴルドベルグ変奏曲という曲である。この曲は、バッハの中でも、もっとも長大な鍵盤曲だが、演奏に50数分もかかるというのに、忙しくてしようがない現代人の感性に... 続きをみる
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ヨーロッパ、特にフランスの近代詩を日本に紹介することに尽力した上田敏の名高い訳詩集です。藤村の新体詩抄等に飽き足らず、「一世の文芸を指導せん。」との意気盛んな抱負の元に書かれました。もはや、日本文学の仲間入りをしたと言っていいでしょう。気品のある名調子で訳された詩の数々は、多くの日本人に愛唱されま... 続きをみる
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影は、「もう一人の私」という意識下の自分と見ることができます。この書は、その「影」との内的な対決が、いかに現代人にとって緊急の課題であるかを提言しています。対決とは言っても、相手は自分にとって、もっとも不都合な自分の根幹を成しているものを壊してしまいかねない凄まじい力を持ったものです。この書は、そ... 続きをみる
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世慣れない純真一方の青年アルセストは、偽善だらけの社交界に強く反発し、激しく憎みますが、その社交界を体現したような男心を手玉に取るコケットなセリメーヌ未亡人に恋をしてしまいます。この皮肉な出来事が、劇に何とも言えないおかしみを生じさせますが、ついに、おかしみだけに終止することはありません。アルセス... 続きをみる
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インドで発見されたゼロが、世界文化に及ぼした影響は計り知れません。本書はそのゼロの発見の歴史的な過程、また、それがどのような変遷を辿って、世界に流布していったかを平易な文体を用い、われわれに手に取るように提示してみせます。極力、数式を廃し、誰もが納得できるように書かれた数字についての書物は、他にあ... 続きをみる
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著者は言います。「日本文学の盛り上がりのときを見ていると、古今集にしても、新古今集にしても、その他の連歌、俳諧にしても、「合す」原理が強く働き、それだけではなく、その「合す」ための場の直中で、いやおうなしに「孤心」に還らざるを得ないことを痛切に自覚し、それを徹して行った人間だけが、瞠目すべき作品を... 続きをみる
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著者のライフワークです。朝日新聞の第一面にコラムとして、長年月に渡って一時的な中断はありながらも、毎朝掲載されました。海外、特にヨーロッパでは、日本には大新聞の一面に文芸批評が載っているとして、驚きの目で見られました。日本の短詩型の文学によく合致した小さなスペースに収まる文芸批評です。俳句や短歌な... 続きをみる
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一読して、その明快で、流麗な文章が目を引きます。漢の武帝の時代は中国の歴史の最初の大転換期にあたります。はじめて儒学を定立し、その後、二千年に渡り引き継がれた経学、文学、史学を発足させました。有名な歴史家の司馬遷も武帝の時代の人です。つい最近の民国革命に至るまで、中国のお国柄となる中核の性格を形作... 続きをみる
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ハムレットは復讐劇である。忠臣蔵がそうであるように悲劇に終わるより他はない劇である。ただ、ハムレットは非常に多弁で、内蔵助は非常に寡黙であるということは、また、別の話になるのだが。 ハムレットの自由精神は、比喩を使えば、いわば、復讐心という暗い感情を垂直軸にして、その回りを振り幅が非常に大きい螺旋... 続きをみる