驟雨来て花洗いたる庭の先 肩近くかすめて飛ぶや初燕 季節とは準客観の移ろいやその年の日を記銘したりぬ
2020年6月のブログ記事
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少し、遅いですが、雨上がりに撮った紫陽花です。数年前に撮りました。 ちょうど、日が当たってくれたところでした。 前に、載せた紫陽花の句を、少し変えて、 一句 雨上がり紫陽花匂い立つごとく
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生まれけれど東海捨てし三英傑それでも名古屋は城で持ちけり 感情が熟れぬままにものを言う正義派常に腹を立てたる 梅雨半ば今年も姿を見せぬ虫
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わたしは、懐旧の念に捕らわれる方ではない。昔の思い出は、いつも苦くわたしを刺し、何かをしていると紛れるのだが、頭に浮かぶ思い出は、いつも碌なものではないのを、自分ながら訝しく思うことがよくある。 わたしの人生の中で、一番ひどかったのは中学時代だが、これは書くに忍びないので、学生時代のことを、少し書... 続きをみる
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クラシック音楽界では、神様とまで呼ばれた名ピアニスト「ウラジミール・ホロヴィッツ」です。 この人のスクリャービンの練習曲とベートーヴェンの「熱情」には驚嘆したものでした。 2020年作です。
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また、きな粉のアイデアで恐縮です。 わたしは、真夏のとても暑いときは、コーラにきな粉を入れて飲むのですが、このコーラきな粉の味は、万人受けするような味だと勝手に思っています。 だいたい、コーラ200mlに大匙1杯のきな粉を入れます。 カルピスの時も、ほぼ同じ分量ですが、カルピスきな粉の方は、味に抵... 続きをみる
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絵となりぬドストエフスキーの感動は十八才の秋のころなる 我の描きし絵はまだありやわが母校見本にせしと取り上げられど 梅雨の晴れ間鳥たちしきりに囀りぬ
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わたしは、ブログに「尊敬する芸術家」として、小林秀雄を挙げているが、これは嘘偽りのないことで、ほとんど毎日、小林秀雄のことをかんがえない日は、ないくらいなのである。 だが、わたしは小林秀雄の本は、「おすすめ本」の中には2つしか入れていない。それも、主著ではない。これには訳がある。 前の記事にも、書... 続きをみる
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21才の時に描いた文芸評論家の「小林秀雄」です。現在の歳に至るまで、敬愛することをやめていません。 本でしか知りませんが、よい人に私淑したものだとつくづく思っています。この人の全集は2つ持って、全部読んでいます。今まで、主要な著作は、何回読んだか知れません。 わたしは、ぜんたいに、批評家と人種を好... 続きをみる
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高潔と官能みごと融和したるラファエロ聖母至上のアート エロスとは世にも不思議なフェノメノン愛するべきや抗うべきか ナルキッソスきれいな顔のおバカさん
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自己嫌悪自己愛からも遠く来て我はすなわちただの人やは 今ははや聞きたくもなき流行歌頭の中で鳴りてうるさし コロナ禍の今年はきれいに梅雨の入り
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無残にも腕をもがれしミロ・ヴィーナス驚嘆すべき確固たる美 アングルや肉体のみの女たち思想はいらぬ道もいらざる 作句することままならぬ梅雨の入り ※二番目の短歌は反語表現です。
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教会にバッハのオルガン響き渡りアンナは聴くや恋心もて シューマンのあやうき心支えたるクララのごとき妻はいずこに 雨やみて鳥の声する梅雨の入り
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大阪のようにはいかぬ愛知県意見違えるトップ同士や 占いはテキトーにして良かるべし指針となるはこころざしにて 稲妻を句にして眠る女かな
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わたしは夏になると、コカ・コーラにきな粉を入れて飲みます。 これがなかなか美味いんです。きな粉を入れると炭酸が出ますが、全部は出ません。かき混ぜて飲みますと、パンチがあって、それにきな粉は栄養の宝庫ですから、夏バテ解消にもなりますし、オススメですよ。 あるとき、とある喫茶店で、マスターにこの飲み方... 続きをみる
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この「天皇の世紀」は、わたしは高校生の時から読みはじめたのだが、今に至るまで未だに、読み終わっていない。昔、朝日文庫で出ているものを、全巻買って、読みはじめ、第1巻はなんなく読めた。(実は、第1巻だけで止めてしまう人が、多い本なのである。因みに、この本は全17巻あって、著者の病没のために、戊辰の役... 続きをみる
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われこそは阿呆の中の阿呆なり人は言えどももの知り者と 学と知恵二つ持ちたる者わずか徳を持つ者さらに少なし 学を持つ阿呆はあまた居りたるを学無き知恵者居るものなりき 赤き薔薇雫したたり落ちにけり
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セザンヌやカッと見開くまなこには森羅万象宿したりけり 神話とは実在なりやルーベンス手綱取りたるをみなたくまし 小雨止み紫陽花匂い立つごとく
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スペインの心奥描くエル・グレコアートはときに不思議を為せり 歴史とは戦争なりきドラクロワ手に持つ画筆銃に変えたり 電柱の無き通りなりツツジ咲く
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厳かな目にてあるらんジョルジュ・ルオー人は絵の外出られぬごとく ドガの描く踊子たちは神経をはりつめて舞う競うがごとく アングルや冷たき肌の女たち
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「罪と罰」は、当時のロシアで大評判を取った、ドストエフスキーが一番成功した小説で、ドストエフスキーの中では、最も有名な、また題名だけでも、何かを暗示しているような感のある本なので、一度は読んでみようという気になる人が多く、実際、読まれているのだが、さて、最後まで読んで、あの強烈な感動を味わったとい... 続きをみる
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罪と罰読みしと聞かばマンガでと答えし男虚ろなるかな カラマーゾフ読みしと訊かば大審問のみと答ゆる悲しかりけり 梅雨間近さかりのついた猫の声
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エッセイ 「ドン・キホーテ<前編・後編>」セルバンテス <読書経験> 2
<続き> そうして、振り返って思えば、どこにでもいるような平凡な田舎娘を、貴婦人のドゥルシネーアとして、ここまで思い詰めることができる男とは、本当の阿呆ではないかという思いがどこかで過る。本で頭を焼かれた男。まさしく作者セルバンテスの狙ったところであろう。 「ドン・キホーテ」に見られる、数々の滑稽... 続きをみる
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エッセイ 「ドン・キホーテ<前編・後編>」セルバンテス <読書経験> 1
わたしは、読んだ本は、いつ頃読んだのかよく憶えている方なのだが、この「ドン・キホーテ」については、何歳ころに読んだのかほとんど記憶がない。おそらく、学生時代に読んだと思うが、不思議と内容については、よく覚えている。 まず、岩波少年文庫版の抄訳の「ドン・キホーテ」を読み、だが、それでは「ドン・キホー... 続きをみる
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わたしの絵は、まったくの独学で、絵の先生についてあれこれ習ったということはまるでない。 高校生のとき、美術の授業で、「消しゴムも筆のつもりで描け」と教えられた限りである。わたしは指も筆代わりにしているから、これはわたしの独創かと思っていたら、ある本で、指で描く画家がいるということを知り、独創という... 続きをみる
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岩波少年文庫に入っている本であるが、少年文庫に入っているのが惜しいくらい内容が充実した本である。 わたしは、福永武彦という人は小説家であることだけは知っているが、他の本は読んだことがない。だからこれは、推測になってしまうのだが、おそらくこの著者の中で、最も良い本の一つだろうと勝手にかんがえている。... 続きをみる
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一時期、文学にせよ論文にせよ、翻訳で、一体何パーセントが伝わるのだろうということが、盛んに言われたことがあった。わたしは児戯に属する議論だと思っていたが、一口に言えば、伝わるものは伝わるし、伝わらないものは伝わらない。それで、少しも構わないではないかと思っている。 前掲した「神曲」にしても、原文は... 続きをみる
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わたしが読んだ中で、もっとも深刻な表現力を持っていると感じたのは、ダンテの「神曲」であった。もちろん翻訳ではあるが、言語表現とは、これほどまでに力強いものかと、舌を巻き、恐懼したものだった。 地獄篇の最初の方に、およそ2ページにわたるほどの長い比喩がある。地獄の空気が濃厚に漂う中、まるで一服の休息... 続きをみる
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フェルメールカメラのごとき目を持ちて歩き回れりネーデルランド ブリューゲル人は人にて神ならずどの人見てもただの凡人 胡蝶蘭乳房のごとき佇まい