短歌 No.1
夕日より強く激しき赤やあるなほ燃えんとす君の唇
夏座敷縁側降りる猫の子や耳をそばだて秋の音をきく
すごいような夕焼け空のもと人間たちのたましいに動物たちのたましいが忍び込んだ
風はどうなっただろうか部屋は散らかっている
冬日差し鏡の国のアリスのみ逆さになりて書棚にありぬ
幻のごとくさくらは舞い上がり空に滲んで溶けて消えゆく
春の日の風はふんわり桜連れ川辺の道をはんなりはんなり
過ぎし日の思い出一つ二つ三つもの憂き夜にためいき一つ
見るたびに自分の顔は不思議なりたしかにわれか我の模造か
あんなにも人はくっきり見ゆるゆえおぼつかなきや我の姿は
町中のおもてうごかぬ池の底に白き生き物住みて久しき
麦秋を死の影が行く目を覚ませやわらかな風そよぐ真昼に
うばたまの夜のはなれに一人いて思いはみだれかぎりなかりし
うつつなき世を頼もしと思ほはばマタイ受難を聴くことなかれ
懐かしき人もあるらむおしなべてよき人の目は言うもさらなり
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