現代詩 詩人 「改版」2
生きのいい言葉はないか
プロ野球投手の弓のように撓る身体からうなりをあげて
捕手のミットにズンと受け取められる
硬式ボールのような
手が赤く腫れ上がるくらいの手応えのある
確かな言葉を
それは単なる
記号でも
観念でも
プロテストでもなく
一人立ちした
言葉そのもの
象徴
いやそのような言葉ではなく
実在
いやそれでもない
一眼レフカメラのレンズのように
磨き抜かれた
言葉
我々をしんじつ目覚めさせる
詩
これは
けれども
限りない労働を要求する
言葉の格別な組合せを必要とする
わたしという他者
これは
それでよいか
我々は
精妙な耳を持っているか
研ぎ澄まされた目を持っているか
我々は
一人立ちしているか
語るべき本当の言葉があるのなら
そのぎりぎりのところを語ってくれ
それは
一言でもよい
一行でもよい
いや
千万言でもよいのだ
そうだ
嘘でも構わぬ
我々の胸に真の火を灯すのなら
どんな人も詩人になってくれ
そのかわり
詩人のふりだけはしてくれるな
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