「人間嫌い ミザントロープ」モリエール 新潮文庫
世慣れない純真一方の青年アルセストは、偽善だらけの社交界に強く反発し、激しく憎みますが、その社交界を体現したような男心を手玉に取るコケットなセリメーヌ未亡人に恋をしてしまいます。この皮肉な出来事が、劇に何とも言えないおかしみを生じさせますが、ついに、おかしみだけに終止することはありません。アルセストは恋に破れ、俗世間ともまったく交渉を断つことを誓い本当の人間嫌いになります。モリエールは喜劇の裏の悲劇を喜劇であることを裏切らないで充分に表現することに成功しました。ミュッセは「モリエールの男らしい笑いを笑った後で、泣かずにはいられない」と表現しています。モリエール随一の性格劇です。
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