紅葉狩り今日は親父の命日や うな垂れて秋を思ふか赤きバラ 我ながら不審なりけりなにゆえに中学時代かくも思ふや 中学は我にとりては人生の極めて悪き時代なりしが
俳句のブログ記事
俳句(ムラゴンブログ全体)-
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思い出はなにゆえ辛きことばかり我は何をか背負いたるやは 中学のわれの思い出いと暗き何故に幾度も振り返るかは 夏と冬入り交じりたる秋なりや この秋は逆戻りする季節かな まだらなり今年は紅葉遅きかな
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もみじせし銀杏見るたび父を思ふユーロブジーたる復員兵の 父の死の六十日後に逝きし兄いかなるやらん地獄天国 かなしげにわれを見つめる犬や秋 大いなる光は天の日に他なし <無季>
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この秋は乱高下する気温かなとっくり着ては脱いでおるなり 陽気よし今年は秋の長きかな 日陰のみ半分紅葉したる木や
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中日本初冠雪の便りあり わが思い知る人何処年の暮れ ※今日は、これだけしか浮かびませんでした。
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来年はいかなる年になるやらんさてもしつこきコロナなるかな 倒産と解雇相次ぐ晩秋やコロナの威力すさまじきかな 日米の通商貿易いかならむバイデンタフや苦労人にて バイデンにもしもの時がありしときハリス代役務まりぬるか カメムシや壁に張り付き動かざり
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人生に数式合はずAIの魔術の言葉むしろ占い 占いも数知れぬほどありにしがAI占いいずれ出で来や 人生や暇ありてこそ文芸に熱中したる俗中の真 裏庭にススキの靡く旧家かな
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人生に痛めつけられ五十余年それでも生きる目当てなけれど よく出来た言葉なりけり人生や色付くごとく枯れるごとくに ハナミズキ紅葉せしども味気なし ハナミズキやはり花なり春を待つ
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高みより見下ろすごとく民主主義唱うる人の如何に多きか 生臭き政治の他にこの世には秩序もたらす仕組み無きやは アメリカの常識いずこ秋選挙
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分断が社会の中にありてこそ二大政党成り立つものに 日本の社会に分断ありや否や有りという人無しという人 政治上日本の分断在りけれどことばの他にさて見当たらず カマキリにおびえて道を譲る人
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アメリカのトップは誰になるやらん世界注目われも浮き立つ 民主主義お手本とする国ありや二大政党日本に合はず 民主主義いくら聞きても意味不明原理なるやは制度なるやは 大阪市無念の秋や都構想
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秋空の下に広がる野のごとき大きなこころ何処にかある 暴動の備えをしたるアメリカや政治の怖さまざまざと見る 満月の下にて本を読む人や
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真理をや手に入れにしとランボーの書くはまこととわれは信じる ランボーは詩を捨てにしが文学はそこで終わらずわれは詩を書く 詩作するときには常に詩を思うギラリと光るランボーの詩を 秋の夜たとえば耳を切るゴッホ
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こころにはこころで応ずこれ礼やいかなるやらん心なき身は 心には目という窓のありしかど開けて居る人いとも少なき こころをば遊びて潰す人ならんからだばかりを心当てにて 町中の柿赤くして空青し
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反体制送れば学びの自由とや学術会議独立知らず 学問は独立してぞ本物と言ふべきならん学術なんぞ 上中下あるいは右か左かはいかなるやらん人の在り様 柿日ごと赤くなりぬる散歩道
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毎日はとても続かぬ書き方をしておりぬなり自縄自縛や 趣味として持ちたるブログなりけれどかえりてそれに振り回されぬ この年が明けてもコロナウイルスか
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「明治は遠くなりにけり」は、誰でも知っている、有名な文句だが、これは一句目がまったく看過されてしまった、言わば、トルソの句である。 降る雪や明治は遠くなりにけり 草田男 が、本来の句なのだが、わたし自身が「降る雪や」の一句目は知っていたのだが、誰の作かについては、頓着しないで過ごしていた。今、ネッ... 続きをみる
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ランドリー百円食われてしまいけり連絡するはかえりて損や 秋深きパンデミックは収まらず 真相は深層にあり吊し柿
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写真から動画の時代になりてより不可思議なこと多く映れり 沈みつつ浮くを学べる術ありや老いを知らざる人のごとくに 虫の声侘しきこころ知る如く
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はてさても上には上のあるごとく下には下のあるを思へり 鈴虫のふと黙りたる夜更けかな 口の周り吹き出物にてコロナ秋 秋晴れの予報は名古屋飛ばしかな
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不思議なり錬金術は有り得ぬを何故にそこより科学出で来や 物質に常に拘る欧米人ものに行く道学問なれど 如何ならむ量子力学解き明かす物と波動と紙一重やは 雄大な西の空には積乱雲
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気が付けば虫の声せし寝付く間や 秋の虫礼を知りたる如く鳴き 国連はカントのイデーなりしかどイデー保持すはあまりに難き 米中の間に挟まり国連はレゾンデートル無きが如くや
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からだをば如何に見事に仕上げれどこころばかりは追い付かなきを 見上げれど秋の夜空に月はなく 北日本雪のたよりの届きけり ※「いいね!」はどうやら押せるようになったようですけど、何か、パソコンが安定せずです。
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まごころは八重の衣に包みてし袖なる手には文を離さじ 中世をいかに遠きと思へども人やは同じ心なりけり 鈴虫の声澄み渡り寝つく夜 珍しき鳥の声せし秋来たる
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綺麗ごと裏なる殊に憎みけりきれいはきたないきたないはきれい 表裏取り違えては適わざり表は表裏は裏なり 流れゆく川面に映る薄紅葉
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アメリカの本音を曝すトランプよ建前あっての本音ならずや 裏表反転したる世の中を狂ほしき世と言ふべかりけり 建前を軽んずる者世を知らず表裏ありての世間なりけり 古びたるバスターミナルや秋の風
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行動をいかに尊ぶ世なりとも立ち止まるしかわれは知らざり 時は金資本経済もたらせるかかる思想の部分真理や 立ち止まりものをよく見てかんがえる別の情景開くさま見し 黒き山その向こうなる青き山
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われは思う謎めくほどに魅力増す人とはかかるものにてあらむ 人生の謎に出会いていかならむ外なる問いにわれは関せず 陶酔や覚めて夢見し曼珠沙華
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付き合いはさまざまなれど清濁を併せ呑むことむずかしきかな 秋なれど陽射しの強き車窓かな
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ともかくも日本は道に事欠かずいつの間にやら歩いておりぬ 若き人こころ焦るな美は女神礼に拠りてや美しさ増す 飛ぶ鳥の真下に見ゆる秋の町 <若いときの句を、若干変えたものです>
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若き木は花を急ぐとプロの言う人はた同じ遠回りせん 静夜かな味わいしみる虫の声 虫の声胸の奥まで入り込み
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立ち姿凜としたれど裏腹の迷えるこころ道を探さん せめぎ合う男トムにて女ジェリーいたずら好きはなほ止まざりし 真心は得たりと思はば去りぬもの絶対なくば適わぬ道や 淡けれど染みる色なり薄紅葉
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人曰く女はすべて喋るものさにはあらざり言はぬは言はぬ ひがめりと兼好言えどさてもがな女括りて言うは適わぬ 桜紅葉やや品落ちる風情かな
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もの言はぬ人人乗せて地下鉄は秋の下道くらきを走る 目の前をトンボウ二匹戯れ合いぬ 空地ならん四五十匹の赤とんぼ
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女の子集いて何を話すやらんたわいも無きことかぎりもなしを 稀なれど見栄を張らざる女ありもののあはれを知る由にして ちらほらと赤混じりたる楓かな
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信不信何によりてか判別す付き合いの他あることはなし 稲妻や天の御怒りなさるかは
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人生をむなしと言はば如何せん人には人の夢ぞありける 詩では食えぬ事知りけれど詩を書きぬ書かずに居れぬ人のあはれを 雄大な青空なりき積乱雲
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信じられる人のなき人多けれど自ら見る目ありやなしかは 楽しみに惹かれてまるで人を見ずその楽しみや如何なる楽しみ 友だちはじつに多くの類いあり親友悪友ただの友だち あらし来て熱暑の町を洗いけり
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稲妻のゆたかなる夜も寝べきころ 汀女 わたしは、汀女の句集は、読んだことがないが、虚子や大岡信の本の中で紹介されていて、この句を知った。 なんでも、ある女性俳人が、「雷」の題で、句を詠もうとすると、この汀女の句が浮かび上がって来て、どうにもならないと俳句の師匠に、その苦衷を訴えたそうである。 わた... 続きをみる
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朝顔を一輪出だす利休かな この句であるが、少し前の記事に、忍び込ませて置いたのだが、成功している句かどうかについては、見巧者というような人の判断に委せることにして。 これには、前置きになる物語があるので、それを語ってみたい。 千利休が、秀吉に、その当時観賞用として、流行り出した朝顔を、お目に掛ける... 続きをみる
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それぞれに事情抱えし人人を乗せて電車はひた走るなり 人心は冷え込みぬらしコロナ禍や うだるごとき日日続けども夜長かな
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日本は気候の厳しき国なりといくら言いても聞く人はなき 国の顔誰になるかは秋日暮れ 今日といふ一日は過ぎ秋近し ※安倍総理おつかれさま
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バスに乗って、茫然と郊外の景色を眺めていた 電車では車窓からの風景というが、バスでは何と言うのだろう 川に差し掛かった当りで 強い日差しの下、川岸に植わっている木の 夏の青葉が、それぞれ、たのしげに風に揺れているように見えた 樹木の知識の乏しいわたしには、常緑樹か落葉樹かの判別も付かなかったが 何... 続きをみる
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さしあたりコロナと猛暑怖けれど秋近づきぬどんな秋かは このところ短歌や俳句ばかりなり出てくるものはいずれもそれら 猛烈な暑さなりけり秋いずこ
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巨大なるこころ持ちたる西郷の動き愚にして直く剛なり 天才の居なくなりたるクラシック演奏もまた天才要す 鳴り響く稲妻繁く町を刺す
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ばくぜんと不安なりける今の世に人はさまよふばかりなりしか われはしも立ち止まるしか知らざりき不安ばかりの今の世に居て 雷雨来て猛暑やはらぐ列島や
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成功は誰もが願ふものなれど時の運なき愁ふるのみに 世間体いかに嫌えど成功は人の欲する世間体なり 人々の忘れ果てたることありき信は徳なり力なりけり にわか雨町いっせいに冷やされぬ
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イデーをば理念と訳す不審なりプラトン言ひし徳に他なし 理念ちう新語のさばり不快なりメッキの早く剥がれんことを 夏の夜紺の和服の似合う人
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八徳に克己正直入らざりこはその通りむずかしき徳 博愛はことばのみなる徳たりや実践するはあまりに難き 秋近しハト足音に舞い上がる
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※今回の句首は軽く読み飛ばしてください 人生の甘き苦きを知れりとも甘さそのまま苦さに通ず 世の中に女はあまた居りたれど大阪育ち苦手なりけり <偏見歌> 人みなをコロナと思う夏の道
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聖書にはこと浅からぬ言葉あり真昼といふに道に迷えり お笑いを見しその後の侘しさよ エアコンの効きし部屋にて句首詠みぬ
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先々を思い煩う人多し一寸先は闇なるものを 如何様に先々思い描けども不安ならざる未来はなきを 白き花ありて大暑に萎れけり
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性は闇闇は底なきものなるを愛死に通ず女は知れり 情熱をいとも尊く言う人や平常心のなきを愁ふる 馥郁と夜の深きに桃実る
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戦後より七十五年経ちしかどこころの平和いずこにありや 人は言う世界平和を唱えしとわれは心の平和を欲す 向日葵のぬっと立ちたる高さかな
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試みや思想を歌に載せんとす愛という海性という闇 詩人とは春の心を持つ者や夏来たりしも冬来たりしも 身は病んで果てなき夢を月高し
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観念はいかにも人を動かせり真か偽か実はことばや 観念に弱きはからだ強き人からだ鍛えてことば鍛えず 死を賭すと言葉は易く言うなれどことばに死せずば順は逆なり 朝顔を一輪出だす利休かな
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闘いの相手は常に自己なりと思ひ定むる人こそ平和 平時にて戦争憎むいと易し戦時にてこころ平らかいといと難し 向日葵や顔一斉に東向け
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成功に酔はぬ人間少なけれど失敗に学ぶ人間多かりし 戦争はいとも大きな世間体勝敗常に語り継がれし 向日葵や太陽の子の花なりき
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あの顔は腹に一物ある顔や目と口少しも動いて居らぬ しばらくはエアコン効きし六畳に閉じこもりおるお盆休みや 涼風に生きた心地のするビルや
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振り返りここ十年を見てみれば異常気象と言はぬ年なし 暦通り行かぬ季節を嘆く人自然と人為元より違ふ 日本の夏には慣れぬ日本人
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珍しき鴨が居るなと撮りたれば後で分かりし鴛鴦ならん 久方に夜明けとともに起きし朝散歩をせしか二度寝をせしか 真夜中に林檎を囓る女かな
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明日には今日の思いは尽きてけむ明日は明日にて今日は今日にて 青青とすみずみまでも野の原や 涼しさや目にし広がる濃尾平野
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来し方を振り返りしかど何もなき砂漠をふたたび歩き行かむと 絶え間なく時は流れる滝の音 蝦夷梅雨はまだ明けぬかや天気予報
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弱毒化せしともせずともコロナには罹りたくなし梅雨は明けぬる 梅雨明けて気ままに降りしにわか雨 梅雨明けて当たり障りのない話
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より深き清き水をば求めてん見つけし喜び書きし悲しみ 歳月やひしゃげた鞄を秋の暮れ 真夜中に蟬飛び起きて鳴きにけり 今は亡き人思う日の近づきぬ
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心掘る仕事ばかりを四五十年続けたりしかひとり遊びに 年月を隔てて見ればあの日より女のことで悩みたりけり 寝不足の頭つんざく蟬の声 鉄骨の部屋に響けり蟬の声
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俳句には、季語が必須だが、はじめて句作りをしようとする人がしがちなのは、季語の重なりであろう。 句の中で、季を表す言葉が二つ以上あると、どうしてもfatな印象を与える。季語は句の中で、一つのみという鉄則があるわけではないが、一つの方が、句がスッキリとして、焦点が定まりやすいという利点がある。 本に... 続きをみる
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絵を描いてぼやけて見える景色かな老眼鏡はいつから掛けしか 友を見てわれの年齢知らされぬうかうか生きし五十余年や 俳人や枯野の似合う人なりき 荒れてなほ向日葵の咲く人の庭
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人ばかり不可解なりしものはなし鬼か仏か同時にそれや 珍しき鳥の声せし探せどもどこにも見えぬ不思議な声や ため息を吐いて長夜の心遣り 暗闇に花火上がりて目覚めけり
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これからが大変なりと言ひし人あれから十年過ぎ去りにけり 少しばかり眠たげならん家の猫前足揃え首を乗せたり コロナ禍を俳句短歌で過ごす夏 寝入りけりいつの間にかの夏の午後
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女ばかり不可解なりしものはなし女にしても男は謎や 手紙にて君を愛すと書きしかどなしのつぶての夏となりぬる 秋近しコロナいつまで居つくやら
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夏の海おのずからなる空の青夕暮れ時の赤すさまじき 力尽き蟬寝転がる川の岸 夏夜明け小鳥囀る林かな
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天災は天災としてやまと国知力をもちて自然と和する 大いなる対流動く梅雨末期 梅雨末期気の変わり目のあらしかな
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レンブラントドラマのごとき光当てさらなる闇は何を語らん 幻日にわれを忘れぬカキツバタ 幾千の蟬の声にて目を覚まし
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この館クラシックを流しけり耳そばだてるモーツァルトや 色気ある女の居たり夏の道 ジージーと果てしなく鳴く夏の虫
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半端なる句首を並べていかがせむ如何せむともわれの句首なり われ三度自省せるともそのままに自己と戯むる愚行はすまじ 頃合いを見つけて鳴くや夏の鳥
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幻日と名前は知れど現実に見しは皐月の午後のことなり 振り向かぬ男は無きに等しきを権威権力美女金名誉 夏夜明け小鳥囀る林かな
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ところどころマスク落ちたる夏の道 カラス鳴く夕暮れ時の蟬の声 おしなべて権威権力男持ち女はこれらにもっとも弱き
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男にて権威権力好かぬ人稀なりけるや狂にして狷 思いなす男前にて金名誉女の好きな三ヵ条なり 午後の部屋音楽止みて蟬の声
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さまざまに思案したりぬ夜もすがら落ち着くところなんとかなると テレビ消し時は静けさ取り戻すほのかに思う孤独なりしと 濁流や魚群はいずこ梅雨末期
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人間の欲は極まりなけれども情を得すなわちかたちを取りぬ 性欲はいかにも大事これ真なり虚しきことはさのみなるとき 丈高き向日葵咲くや人の庭
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かの蝶の名前知りたき大きなる黒に白丸付けたる蝶の 夏の夜名を調べたるかの蝶はオオクロアゲハと見当付けぬ 夏の夜の心さわがす黒き蝶
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夏の道ふいに現る黒き蝶カメラ出だせど間に合わざりき 忘れ難き黒蝶なりし今一度通りに出でど姿は無きを 名は知らぬ花の上には夏の蝶
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河川みな濁流となる梅雨末期 名の知らぬ花には蝶のとまりたる 描かんとすマザー・テレサの気高きを原画は人に遣りてむが
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趣のある花なれど名は知らぬ知らぬままにてつくづくと見し 情と欲歌にまとむる人ありし源氏は八重の箱に包まれ とりどりの花咲き誇る梅雨晴間
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驟雨来て花洗いたる庭の先 肩近くかすめて飛ぶや初燕 季節とは準客観の移ろいやその年の日を記銘したりぬ
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少し、遅いですが、雨上がりに撮った紫陽花です。数年前に撮りました。 ちょうど、日が当たってくれたところでした。 前に、載せた紫陽花の句を、少し変えて、 一句 雨上がり紫陽花匂い立つごとく
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生まれけれど東海捨てし三英傑それでも名古屋は城で持ちけり 感情が熟れぬままにものを言う正義派常に腹を立てたる 梅雨半ば今年も姿を見せぬ虫
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絵となりぬドストエフスキーの感動は十八才の秋のころなる 我の描きし絵はまだありやわが母校見本にせしと取り上げられど 梅雨の晴れ間鳥たちしきりに囀りぬ
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高潔と官能みごと融和したるラファエロ聖母至上のアート エロスとは世にも不思議なフェノメノン愛するべきや抗うべきか ナルキッソスきれいな顔のおバカさん
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自己嫌悪自己愛からも遠く来て我はすなわちただの人やは 今ははや聞きたくもなき流行歌頭の中で鳴りてうるさし コロナ禍の今年はきれいに梅雨の入り
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無残にも腕をもがれしミロ・ヴィーナス驚嘆すべき確固たる美 アングルや肉体のみの女たち思想はいらぬ道もいらざる 作句することままならぬ梅雨の入り ※二番目の短歌は反語表現です。
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教会にバッハのオルガン響き渡りアンナは聴くや恋心もて シューマンのあやうき心支えたるクララのごとき妻はいずこに 雨やみて鳥の声する梅雨の入り
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大阪のようにはいかぬ愛知県意見違えるトップ同士や 占いはテキトーにして良かるべし指針となるはこころざしにて 稲妻を句にして眠る女かな
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われこそは阿呆の中の阿呆なり人は言えどももの知り者と 学と知恵二つ持ちたる者わずか徳を持つ者さらに少なし 学を持つ阿呆はあまた居りたるを学無き知恵者居るものなりき 赤き薔薇雫したたり落ちにけり
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セザンヌやカッと見開くまなこには森羅万象宿したりけり 神話とは実在なりやルーベンス手綱取りたるをみなたくまし 小雨止み紫陽花匂い立つごとく
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厳かな目にてあるらんジョルジュ・ルオー人は絵の外出られぬごとく ドガの描く踊子たちは神経をはりつめて舞う競うがごとく アングルや冷たき肌の女たち
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罪と罰読みしと聞かばマンガでと答えし男虚ろなるかな カラマーゾフ読みしと訊かば大審問のみと答ゆる悲しかりけり 梅雨間近さかりのついた猫の声
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フェルメールカメラのごとき目を持ちて歩き回れりネーデルランド ブリューゲル人は人にて神ならずどの人見てもただの凡人 胡蝶蘭乳房のごとき佇まい
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禅僧のいまわの言葉「死にとうない」これぞまごころ尊かるべし 異国にてジーザス思うゴーギャンの背には海より夕日の当たり 曼珠沙華捨ててこそ咲く妖しさよ