三島由紀夫「金閣寺」 新潮文庫
華麗でよどみのない文体と、「才能の魔」とまで言われた異常な詩的才能とを合わせ持ち、当時の日本で圧倒的な存在感を誇った三島由紀夫の絶頂期の小説です。こんこんと尽きることを知らずあふれ出る豊かで彫りの深い詩的イマージュは、読む者をそのまま文学世界のただ中に引き入れます。柔軟で格調の高い文章は、最後まで張りと緊張を失わず、現代では稀な名文となっています。文学本来の力をまざまざと感じさせる現代人によって書かれた古典と言っていいでしょう。現代日本が持ち得た世界文学の一つです。
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