Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

「茶の本」岡倉天心 岩波文庫

原文は非常に美しい英文で書かれているそうです。新渡戸稲造の「武士道」といい、内村鑑三の「代表的日本人」といい、この時期、日本人による英文の名著が多く出ました。明治人の心意気の高さを感じさせるものがあります。「茶の本」は日本の茶の湯を世界に紹介した高名な本です。狭い茶室の中で、苦い茶を喫し、宇宙を感得しようではないかと呼びかけたこの本は、日本の精神文化を世界に発信し注目を集めました。茶の湯の大成者利休の、人を持て成すことを芸術とした独自の日本文化は天心のこの本を得て、世界にその存在を知らしめました。「茶の本」は時の権力者秀吉による利休自害の記述で終わっています。ロマン的な高い精神性を感じさせる本です。