「吉田松陰」徳富蘇峰 岩波文庫
近世日本国民史という膨大な著作を書いた徳富蘇峰の中でも、一番の傑作とされているのが、この「吉田松陰」です。松陰は行動家でしたが、ほとんどの行動は無惨な失敗に終わっています。鎖国の世にアメリカ渡航を企てますが、乗船を断られ、牢獄に入れられます。幕府の重臣に手をかけようとしてやはり失敗し、そのために安政の大獄で命を落とします。松陰の本領はどうしても教育家としてのそれです。松下村塾を作り、自分の熱情を弟子たちの心に熱く注ぎ込み、明治維新期の多くの傑物たちを育てました。純粋この上なく、果断極まりない。日本史上空前の男です。
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