中国に行って、空港に降りたったとき、その中国のにおいの強さに驚いたものである。慣れるまで、小一時間くらいかかったと記憶しているが、中国にいる間中、時折、鼻につくその独特の匂いには悩まされたものだった。 添乗員さんに聞くと、あれは八角のにおいだということで、そういう日本だって、外国の人から、言わせれ... 続きをみる
源氏物語考のブログ記事
源氏物語考(ムラゴンブログ全体)-
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宇治十帖が、始まる前に、「雲隠」と題した題名だけがあって、本文のない巻があるのは有名だが、式部もにくいことをするものだと思う。 本居宣長は、「紫文要領」の中で、光源氏を、いかにも深く「もののあはれ」を知った人として、「この上、誰が心の上に源氏の死のあはれを書こうぞ」と言っていて、その通りだと思うし... 続きをみる
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「『須磨』を読まずに、源氏を語るな」とは、昔から、源氏物語について言われてきた忠告である。 この忠告を、わたしはこのように取る。「須磨」を経て、光源氏はいよいよ、女には手放せない男になったと。 有名な、雷が源氏のすぐそばの柱に落ちる場面は、非常な迫真力をもって書かれる。左遷された源氏が、尚も、試練... 続きをみる
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「源氏の前に源氏なく、源氏の後に源氏なし」そんな言葉があったかどうか忘れたが、史的に見ると、源氏物語は聖徳太子並みにその時代を超えている。 貞永式目が典範を持たない憲法であっったように、源氏も、その類例を前代に求められない。わずかに竹取物語にその萌芽を見いだせるだけである。かぐや姫があらゆる男を惹... 続きをみる
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源氏物語を読み返している。以前、読んで分からなかったことが、次第に鮮明になってきた。以前の読書はいささか読み方が幼稚だったようである。 およそ、物語の主人公で、これほど作者に、本当に愛された登場人物も他にいまい。そこには、贔屓の引き倒し以上のものがある。太陽光と同等と言っていいような直線過ぎる愛情... 続きをみる