良寛さんは、日本風のファウスト博士であったと思う。しかも、子ども時代にまで若返って見せてくれた、現存したファウストであったというのが、わたしのかんがえである。 一体に、ヨーロッパで伝説とされている人物が、日本では、生き身の姿で歴史上に現れるというのが、わたしの思うところである。 ドン・ジュアンは在... 続きをみる
ヨーロッパのブログ記事
ヨーロッパ(ムラゴンブログ全体)-
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ことばは、生き物であるから、時代とともに生き死にするものであるが。 啓蒙とは、一頃、いわゆる、人々の行動の主軸とさえなったものであるが、今となっては、まったく、見向きもされなくなった言葉に、堕した。 ヨーロッパは、キリスト教を各地に普及させるときに、この言葉を使った。キリスト教こそが、本当の宗教で... 続きをみる
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民主主義については、わたしはごくごく幼い頃から、ある違和感を抱いていた。子どもの頃、兄から「この世の中で、一番偉いのは、誰だ?」と問われ、わたしが一所懸命考えていると、兄は「それは、俺だし、お前だ。」と事もなげに言った。 このやや粗雑な民主主義観は、当時のわたしには、まったく解せなかった。その子ど... 続きをみる
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キリスト教について、あまり言われないネガティブな面がある。それは、キリスト教以前のヨーロッパの古代の歴史や伝統の息の根を、ほとんど途絶してしまったことである。 辛うじて生き残ったものに、古代ギリシア文化があるのだが。古代ギリシア文化と言っても、ギリシア文化と言えば、古代のそれがなければ始まらない。... 続きをみる
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ヨーロッパでは、こういうことが言われるそうである。 一人のイギリス人は俗物である。二人のイギリス人はスポーツをする。三人のイギリス人は大英帝国を作る。 一人のドイツ人はロマンチストである。二人のドイツ人は俗物である。三人のドイツ人は戦争をする。 日本人は、どうもドイツ人に似ているようである。
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シェイクスピアの前期の喜劇です。シェイクスピアと言えば、ハムレットなどの四大悲劇を中心に考えますが、この見方は、実は、ロマン主義文学台頭の時代以降のもので、それ以前の時代のシェイクスピア観では、中期の四大悲劇よりも、前期の喜劇の方が、優れているとされていました。この「お気に召すまま」では、人間は自... 続きをみる
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世界最古の英雄叙事詩です。起源は聖書より古いとされ、神話上の人物オデュッセウスが主人公です。「オデュッセイアー」とは「オデュッセウスの物語」という意味です。非常な冒険譚に富んだ物語で、古代ヨーロッパの人々にとって冒険がいかに人生の重要なテーマであったかを窺わせます。一度その歌声を聞いたら、もうその... 続きをみる
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著者の吉田健一は、総理大臣を務めた吉田茂の長男です。多くの著作がありますが、著者のもっとも円熟した時期に書かれた傑作です。吉田健一の文体は独特です。奇妙と言っていいほどですが、紆余曲折しながら進む文章に導かれていくと、豁然と展望の開けた高台にいることに気付きます。ヨーロッパが真にヨーロッパであった... 続きをみる