エッセイ 良寛とファウスト
良寛さんは、日本風のファウスト博士であったと思う。しかも、子ども時代にまで若返って見せてくれた、現存したファウストであったというのが、わたしのかんがえである。
一体に、ヨーロッパで伝説とされている人物が、日本では、生き身の姿で歴史上に現れるというのが、わたしの思うところである。
ドン・ジュアンは在原業平に、ファウスト博士は良寛さんにというように、である。
ただ、自我確立を事とするヨーロッパの伝統からすれば、子どもと遊ぶ良寛さんは、やや、行き過ぎの感があるかも知れないが、若返って見せたことは確かであり、しかも、晩年の良寛さんは、若い未婚の女性から親炙されたりもしている。
そうして、業平も良寛さんも、幸福な最後を送っていることは、いかにも、日本人らしい。
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