「オネーギン」プーシキン
ロシア近代文学の祖、プーシキンの代表作です。この書には、ドストエフスキーの有名な講演筆録があります。「人類苦」を自ら担ったと標榜している余計者のインテリゲンチャ、オネーギンに一度は惹かれるが、そのインテリの上っ滑りな心を見抜いたターチヤナという迫害された女性にこそ、本来の人間の心があるというのです。「あの人はただのパロディではないかしら」という言葉に、ドストエフスキーは「道徳的胚子」を見ます。女の心には嘲笑の念などない、その代わり深い悲しみがある。立ち上がるとしたら、そこからであるとドストエフスキーは言うのです。プーシキンの鋭い眼光を感じさせる傑作恋愛悲劇です。
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