「ヴィルヘルム・マイスター遍歴時代」ゲーテ 岩波文庫
ゲーテ晩年の著作です。この書には「-あるいは、諦念の人々-」という副題があります。この本を読むキーワードになるような言葉かと思って読んでいますと、はっきりとこの言葉を語るのは、最初に出てくるヤルノという人物だけで、それもほんの少し登場しただけで、後は、最後まで彼の出番はありません。物語は、七十才でハムレットを演じているという男がいると聞いて、美容に凝る男だとか、かと思えば、寓話のような小人の世界の話になってしまったり、また、随所に難解な箴言が出現したりします。ともかく、一筋縄で読める本ではないことは確かです。ゲーテという人の精神の不思議な有り様を垣間見るような曰く言い難い書物です。
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