「あらし」シェイクスピア 新潮文庫
シェイクスピアの書いた最後の傑作と言われています。ミラノ公で魔術師プロスペローは、娘ミランダとともに、とある島で隠遁生活を送っています。島には様々な妖精たち、中にはキャラバンという性悪な怪物もいます。プロスペローは魔術を使い、ある船を難破させ、乗組員たちを全員島に漂着させます。ミランダの夫に相応しい男を見つけるためでした。全編に、すべてを見通したような抒情性が漂い、こう言って良ければ、安息で静謐な疲れが染み渡っているようです。シェイクスピア晩年の静かで明るい諦念に照らされた作品です。プロスペローは最後に、作者に成り代わっているかのように、自分の魔法の杖を折ります。作者の遺言と言っていい作品です。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。