Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

エッセイ きれぎれ草 86 <意味、金>

意味は、微に入り細を穿ち、これでもかと、相手が音をあげそうになるまで、尚、しぶとく、さらに念入りに、要するに、人が生きている限り、いや、たとえ、亡くなっていようとも、その人を少しでも、必要としている限り、大胆に、また、慎重この上なく、そうして、際限を知らず、問われなければならない。


     ○


意味の大敵は、堪え性のない、切り上げや切り下げである。ひとつ例を挙げよう。


金はすべての事に応じる。


この聖書中のことばは、切り上げても、切り下げても意味を違える。だから、金は大事だ、とか、だから、金は、卑しい空しいものだ、とかは、ひとことも、言ってはいないのである。


金はすべての事に応じる。


金とは、その聖書の言葉通りのものとして、遇すべきものなのである。