Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

「ゴッホの手紙」ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ 岩波文庫

ゴッホは画家ですが、弟のテオや友人に宛てて、非常に多くの手紙を残していたことはあまり知られていません。しかも、その多くの手紙は、ゴッホの多くの絵と同じくらいの、またそれ以上の文学的な価値を持ったものだとなると驚きを増す人は多いことでしょう。ゴッホの絵が、誰の真似も追従も不可能な、断固たる芸術的な価値を持ったものであることは論をまちません。ゴッホの生涯は自殺で終わりましたが、勘違いされて思われてい…

現代詩 真理 <truth>

町の灯が星のかがやきを消してしまうように 光はじつに多くのものをかくした いつも控え目に片隅に埃をかぶって あまりに手近なあまりにあたりまえなもの 手垢に汚れた古本のように わざわざ取り出して見ることもないくらい 喜びは孕み 悲しみは生む アンナ・マグダレーナ・バッハのように 単純な生活の真実な感情 激情に蝕まれ 夢に病むこともない 月は高く 闇は動く あ それはこれであったか

人物画「小林秀雄」鉛筆画

日本一の批評家と言われた、するどさと優しさがみごとに両立している人、文芸評論家の「小林秀雄」です。 この人の本には、じつにお世話になりました。小林秀雄全集は二つ持っています。何回読んでも、新しいい発見のある文章で、飽きることがありません。この人の本は、もはや、古典と言って良いでしょう。ようやく、得心する絵が描けたので、掲載します。 この絵は2017年に描きました。

エッセイ 教育者としての矛盾

教育者の資質としての一つに、どれだけ大きな矛盾を抱えられるかということがある。 昨日、言っていたことと今日、言っていることと違うと気にしているようでは駄目である。むしろ、進んで今日言っていたこととは、矛盾することを明日言うべきである。 何も、でたらめを言えば良いと言っているのではない。 ガンジーの言葉を引こう。 「明日、逝くがごとく生活し、永遠に生きるがごとく、学べ」 生ということについて、明ら…

「ポケットに名言を」寺山修司 角川文庫

一時代前に、一世を風靡した小さな名言集です。撰者のかんがえとしては、こうした簡便な本から、引用された文章を読んで、当の本を読んだ気になるのは、どうかとは思いますが。この本から、さらに孫引きされた言葉が、一人歩きしている感がありますので、一言しておきたいと思います。この本には、寺山の意訳がかなりあります。「文化の仕掛人」として、マンガの登場人物の葬式を真面目に執り行ったという経歴が示す通り、日本文…