Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

エッセイ 中国事情 <香港>

中国は、一つのお国柄といっても良いくらいなのだが、国の方針に馴染まない言論を暴力で封殺する歴史事跡に事欠かない国である。


古代、秦の始皇帝の焚書坑儒に始まり、同時代の韓非子は、獄中で毒をおくられて自殺しているし、闊達で、進取の気性に満ちた漢の武帝でさえ、諫言した司馬遷は去勢され、明時代の李卓吾も異端として、下獄されて、自害に追い込まれている。


時の政府が過激、異端と見做した思想言論に対しては、徹底して弾圧を加える国で、対話に拠る解決というものを、はじめから考えない国、民族と言って良いくらいである。


天安門事件は、国の中心部、それも象徴的な場所で起こったこともあり、悲劇的な結末を迎えたのだが、香港は、場所としては国の辺境に位置し、また、思想としての歴史を持った地域だが、経済の中心部ではある。天安門のときより、事情はかなり複雑で、異なっていると見て良い。


ただ、香港の次は、台湾と言われてはいるが、当の台湾の国会では、議員たちによって、日常茶飯事に暴力が横行している様を見ると、民族としてのお国柄というものはどうしても隠せないものだとつくづく思う。


現在の香港の、ほぼ内乱に近い事情が収束するには、まだまだ、時間がかかるように思えてならない。