エッセイ 西郷隆盛 <内なる理念>
理念とは、それを法令のように、人に押しつける筋合いのものではなく、常に自分の身の内にあって輻射熱のように、自分を限りなくたぎらせるものであることを、西郷ほど自ら実証した人はいないであろう。
理念は、理念という言葉を取る以前の分析のかなわぬ理想的な思想として、西郷に経験されていたであろう。「敬天愛人」という思想は、単なる標語ではなく、自ら深刻に体験し、実践されるべき、西郷の身体そのものから、絞り出された理念であったろうと思う。
内村鑑三のいう、西郷が最大の武士たる所以は、そういうところに求められると思う。
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