Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

エッセイ 金というもの <その人の取り分>

金については、いつもその不足を嘆き、今の収入の中でなんとかやりくりをつけているというのが、一番まっとうな、またもっと言えば、健全な在り方なのではないかと思っている。


1億円の宝くじが当たって、いい気になってしまい、高級自動車を買い漁り、首が回らなくなって、社会からドロップ・アウトしてしまった人を知り合いから聞いたことがある。


道元禅師は「正法眼蔵随聞記」の中で、命も食も、それぞれの人が一生のうちに与えられた取り分というものがあるということを言っている。この考え方は確かに宗教的だが、空想的ではなくて、わたしは気に入っている。


そして、その言葉を敷衍して、わたしは金もそういうものだと思っている。その人が一生のうちに自由にできる金の取り分というものは決まっているのではなかろうか。


そういうことを、自分の肉親や身近な人のことを思い合わせながら、常々考えている。