Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

エッセイ ストレス発散の仕方

あるときのこと、こうした人が居た。
10人くらいの人数で、片付けた仕事が終わり、帰る段になって、それぞれの人が、車で来ている人に、分乗させてもらい、主要な駅がある場所まで、連れて行ってもらうということになった。夜の9時半くらいになっていた。3車連らなって走っていたのだが、その一番先頭の車を運転する人が、法定速度をきっちりと守り、少しもスピードを上げないという人だった。道幅は狭く、上り下りの一車線ずつの道で、追い越し禁止の黄色い車線が引かれていた。ほぼ30分ほど、前にまるで車の見えない道路を、3車と後続の車も含めて、きっちりと法定速度を守って、走るという格好になった。


後で、聞いたところによると、その先頭車に分乗してもらった人たちは、「こんなことしていると後でどやされるよ」とか「これじゃ終電に間に合わないよ」とか、ずいぶんその運転手のことを煽っていたらしいが、当人は、そんなことは、どこ吹く風の人だったということであった。


こうした人は、一説によると、こんな風に、自分のストレスというものを解消しているのだそうである。


ずいぶんと、はた迷惑なストレス発散の仕方のようだが、ストレスというものが、相手になると、人というものは多かれ少なかれ、他の誰かを、ことばは悪いが、巻き添えにしてしまうもののようである。もし、気に掛かった方は、一度、自分のストレス解消法というものを省みて頂くと良いかもしれないが。


それで、このように書いてきたので、迷惑の掛からない方法で働く人のことを、ひとつ、ここで、ご紹介することにしたい。


ある若い二人の女性が、遊園地の仕事序でに、トイレの掃除を委された。数日後、一方の女性は、とてもゲンナリして、もうこの仕事はしたくないというような悲壮な表情をしている。それで、もう一方の女性はというと、とても表情が明るく、さらに仕事をこなしたいという表情に溢れている。


じつは、後者の女性は、便器に自分で名前を付けて、可愛がりながら、対話をするように仕事をしていたのである。「○○ちゃん、今日は、ちゃんとしていたね。えらいねえ。」とか「○○ちゃん、今日はホントやんちゃね。」とかいった具合に、である。


だが、現実には、前者の場合の方が、圧倒的の多いのが事実である。後者の方は、やや、想像力を必要とする働き方ではあるが、何かの参考にはなる話だと思い、紹介させて頂いた。


現代人の大敵、ストレスに対抗するのは、やはり、なかなかむつかしいことのようである。