「告白録」ルソー
日本の私小説の源流となった著作です。言葉の最上の意味でバカ正直と言っていいほど、自分をさらけ出した書物ですが、作品の色調は少しも暗さを感じさせません。徳を愛するルソーのたくましい精神が横溢しているからです。ただ、自分を語るという難しい仕事は、終わりというものがないもののようで、ルソーの晩年の著作には、告白録の補筆のような文章が現れたりします。本当の自分というものは、自己を告白することによって表すことができるのかという疑問さえ湧いてきます。しかし、ともかくも文学史上の重要な里程標となった古典であることに間違いはありません。因みに、告白録には5人の自分の子供を孤児院に送ったことさえ書いてあります。
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