Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

閑話休題 御器かぶり考 2

かなり、以前に御器かぶり<ゴキブリ>について、「御器かぶり考」と題して書いたのだが、読んでみえる人、もしくは覚えてみえる人は、ほとんど居られないだろうとおもい、ある程度重複しても良かろうかとかんがえ、書いてみることにしたい。


まず、ゴキブリの名前であるが、この虫の正式な名称は「御器囓り<ごきかじり>」もしくは「御器かぶり」である。


よく、食器についた米の残りかすを食べていたり、体が御器を被ったように光っているところから、付いた名前と言われている。


そうして、このゴキブリという名前は、御器かぶりから、「か」を取り払ってしまって、付けられた名前である。分かっていることは、それを取り払ったのは、当時、文章が印刷され、出版されるようなある前知識人だということ。さらには、この点が大切なのだが、ゴキブリは、本を大事にしていた前知識人から、じつに厄介な虫として、蛇蝎視されていたということである。


というのも、当時の本の背表紙には、大概、米由来の糊が使われていて、御器かぶりはその糊を好んで食ってしまい、知識人にとって、あまりにも大切な本をボロボロにしてしまうという習性を持っていて、言わば、前知識人にとって、不倶戴天の敵だったのである。


ここで、ゴキブリに付き纏っている、付会の説、また、誤ったかんがえを修正しておきたいとおもう。


まず、ゴキブリはなんの伝染病、感染症も介さない、安全な虫である。ゴキブリ自身が、自分の身を、小綺麗にしておく習性を持った虫で、だから、あんなにも、御器を被ったように光ってみえるのである。


それに、虫として考えれば、まったくノーマルな形をした虫である。ゴキブリが出て、大騒ぎするのは、じつはアメリカと日本だけである。その理由については、先の「御器かぶり考」で十分論証したから、繰り返さない。では、その他の国はというと、ただの虫扱いをするだけである。


もう一つ、誤っているとかんがえられる説は、ゴキブリは一匹見たら、十匹や二十匹はいると見なければならないという、不安を煽り立てて止まない都市伝説である。


わたしの経験でいけば、ゴキブリは家の中にはびこっている虫ではなく、きれいにしている家なら、いつも、外からやって来るものなのである。


例えば、ゴキブリの餌になる小麦粉や米の類いをキチンとしまわないで、袋を開けっぱなしにしておくようなことをしなければ、決して、家の中ではびこるような虫ではない。この説は、とんだお門違いも良い所である。


さらに、ゴキブリは空調に弱いという習性があり、室温が25℃以下に保たれているところでは生きていけない虫なのである。


人類が滅んでも、ゴキブリは生き続ける。これは、言うまでもなく、ゴキブリの害を過大視した前知識人から引き継いでいる、都市伝説そのものなのである。