「老子」小川環樹 中公文庫
「道の道とすべきは常の道にあらず、名の名づくべきは常の名にあらず。」道徳経の巻頭の言葉です。儒教は名を重んじる教えで名教とも呼ばれます。老子は、その儒教の教えと真っ向から対立する自由思想の大家です。前掲の言葉は、道も名も普通にそう言われているものは、決して永遠のものではないという意味です。道徳経には、ほとんど固有名詞が出てきません。道を抽象語に乗せることに成功した書物です。「知る者は言わず、言う者は知らず」反語的な表現を用い、ズバリと真理を突きます。また、単なる隠者の思想ではなく、社会を良くしようとする熱烈たる思いが籠められています。中国自由思想の中心を形作る書物です。その後に現れる「荘子」はこの道徳経を範としています。
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