「ゴリオ爺さん」バルザック 新潮文庫
数多いバルザックの作品の中でも、選り抜きの最高傑作です。バルザックは、スタンダールと同時代人のフランスの小説家ですが、スタンダールとはまるで作風が違います。充分に前置きを固めておいて、大団円まで持っていきます。前置きがかなり長いために、中途で読むことを諦めてしまう読者も少なくないほどです。けれども、この小説を読み通した人は知っていますが、引退した市井の一市民に過ぎないゴリオ爺さんの偉大な悲劇性は、何かを突き破ったような圧倒的な迫力で読者に迫ります。作者のバルザック自身さえ突き破っていると言っていいほどです。バルザックは小説家として初めて過労死した作家で、51才で亡くなっています。生活力に満ち溢れた創作活動の旺盛な作家でした。
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