「羊をめぐる冒険」村上春樹 講談社文庫
ノーベル文学賞との噂の高い、村上春樹の初期の作品です。読む人の意表を突く巧みで斬新な比喩と、テンポの良いきびきびとした文体を用い、読む者をファンタジーとリアリズムの交錯する世界に引き入れます。村上ワールドと言われていますが、およそ、日本の近代文学には、その著者の家風に馴染まないと、読んでいけないような敷居の高さがありましたが、村上の作品はそこから抜け出して、土足で踏み込んで平気なような明るい開放感があります。読み進めるうちに、つい、夢中になって引き込まれてしまう魅力的な小説を書く作家です。この「羊をめぐる冒険」も、アイヌの少年の挿話などじつにうまく物語られています。
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