「プリンシプルのない日本」白州次郎 新潮文庫
著者の白州は、政治家や実業家さらには百姓まで兼ねた人です。日本が太平洋戦争に突入する以前から、すでにアメリカと戦争するということを見抜き、敗戦経験のほとんどない日本は行くところまで行って、東京は焼け野原となって降伏するだろうということまで予見していました。百姓になったのは、日本は終戦後多くの物資、特に食糧に困窮するだろうと見越して、田畑を耕していたためです。非常に鋭いプラグマティックで具体的な先見の明を持っていました。終戦後は、首相吉田茂の側近として占領下の日本で外交、内政に尽力し、「風の男」とも「占領を背負った男」とも呼ばれました。また、GHQの総帥マッカ―サーを叱り飛ばすほどの気骨の持ち主でした。この書はそういう白州だからこそ書けた、同胞日本人への痛快といっていいほどの批判の書です。日本は、未だにこの白州の気骨あるプリンシプルを獲得できないでいるようです。白州自身はプリンシプルってなんだと聞かれ、知らないと答えています。
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