ピアノ鳴る小暗き部屋に情念のほむらかがようロベルト・シューマン ヤナーチェク朱離鴃舌(しゅりげきぜつ)すプラハ春 半獣神口あけておる午睡かな 秋の夜たとえば耳を切るゴッホ ゴーギャンの赤罪の色夏の色
俳句のブログ記事
俳句(ムラゴンブログ全体)-
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風はどうなっただろうか部屋は散らかっている 冬日差し鏡の国のアリスのみ逆さになりて書棚にありぬ 運命を暴君とよび冬籠もり 一灯に照らされ雪の寺しずか ファンヒーターごくりと灯油呑みにけり 俳諧をたとえば雪の降る日かな
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すごいような夕焼け空の下人間たちのたましいに動物たちのたましいが忍び込んだ 月澄んで猫になりたい夜だった 批判めくしわぶき残し人去りぬ ひび割れし心にしみる風のありぬ 猿鉄条に病んで夜長し 壊れても目鼻ありけりピカソかな <無季>
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夏座敷縁側降りる猫の子や耳をそばだて秋の音をきく 夜の秋窓より風のまたぎ来る 月天心とんがりおりぬピラミッド ランボーという男あり秋の夜 くったりと女ねむるやキリギリス しばらくは月を見ていし無人駅 永遠という観念の秋は深み
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日なた日陰小春日和の散歩道 眺め入る空には秋や信号待ち 部屋を出でずこころ散らかる日曜日 <無季> 寒風にひとり吹かれて帰り道 雷鳴やひとり過ごせる部屋に風 レクイエム聴くよしもがなかの日にはモーツァルトは死にたりければ 聴くも良し聞かずともよしレクイエムモーツァルトは生きたりければ
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猫じゃらし思い思いにクビ揺らし 霧雨やすっと立ちたる赤き花 もみじ葉やアスファルト上二三枚 心病みてむさぼるごとく月を見し 心病めど澄み渡りたる名月や 人形の首のみ取れしさびしさよ 雨上がり沈む西日のすごきかな 春深み小さき花や線路わき
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子規晩年の四部作の中の一つです。子規は36歳で結核で世を去りましたが、この病気の特徴で、意識は臨終の最後まではっきりとしていました。子規の文体は、その死病に冒されていたと思えないような驚くほど乱れのない、健康そのものの精神を伝えるもので、しかも若年で世を去ったにも関わらず、円熟さえしています。子規... 続きをみる
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「俳句の愉しみ」の姉妹編です。俳句は句会や吟行などをおこなって句作するというのが一番ですが、一人しずかに句作してみるというのも、また味のあるものです。どういう句が自分の好みなのか色々と句例を挙げて、読者にも句を選んでもらい自分の目の付け所を確かめてみるという工夫がなされています。読む者も思わず句作... 続きをみる
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俳句の好きな著者が、みんなを俳句の世界に誘おうと筆を執ったのが本書です。著者は専門の俳人ではありませんが、句作や句会というものがいかに愉しいものであるかを、専門の俳人の家まで出向き、実際に句会を行い自身の体験をまとめました。そうして、できあがった本書はこの日本古来の文芸が、知らぬ間に人と人との間を... 続きをみる
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美しく貴重な感情には、礼儀の衣が欠かせない。 〇 形式は、法則というよりも礼儀に近い。 〇 俳句の五七五形式、季語は礼儀そのものと言える。 〇 読書は、レコード針とレコード盤の関係に似ている。 早く読み過ぎても、遅く読み過ぎても何も分からない。... 続きをみる
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2018年サッカーW杯 日本対ポーランド戦での、日本へのブーイング試合。 あれこそ、本来の、古風な意味合いでの「やまとだましい」「やまとごころ」を持った日本侍選手たちの試合なのである。 「武士道」とは、だから、定義するのが、まったく困難な、じつに含蓄に富んだ言葉なので、一種の精神主義とは、一線... 続きをみる
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演劇の世界で活躍した著者は、短詩型もよくしました。この本はその寺山の短歌俳句集です。題名の由来となった「マッチする束の間海に霧深し身すつるほどの祖国はありや」の歌も収められています。終戦直後の日本人の複雑な心境が読み込まれていると言っていいでしょう。寺山の詩歌は音楽的で独特の韻律を持ったものです。... 続きをみる
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この空の安らかなるを初日の出 お正月ゆるくつながる人ありけり 白魚のごとく手動くスマホ上 めでたさに門立ち出でて道行けば車の流れゆるくおだやか 久しくは仰ぎ見ることなかりしを初空しばし眺め入りたる あけましておめでとうございます 今年もどうぞよろしくお願い致します 秀春
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近代を代表する俳人、高浜虚子の言行録です。一読、清新な感情に満たされる、現代ではまれな情操文学の書と言えます。少しも小難しいようなところはなく、高校生でも理解できる内容です。「佳句は一生に一句あれば充分です。」といった言葉から、虚子の俳句や人生に対する態度がにじみ出てきます。「死後百年の名声を楽し... 続きをみる
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燕の子横一列に顏並べ 動くとも見えでうつろう春霞 冬の夜の思いはとぎれ雨の音 それぞれの星を背負いて雪の道 生き抜けとつぶやくごとく寒椿 行く春や行方も知れぬわが身かな もの言はぬ自販機うれし炎天下