シェイクスピアの劇は、どれも早く進行するという印象があるのだが、その中でも、四大悲劇は、特にスピーディであると言って、良いようだ。 総行数で、もっとも長いのが、ハムレットであり、もっとも短いのがマクベスであるが、どちらも、科白が、畳みかけるように流れていく。リア王やオセローも、この点、同断である。... 続きをみる
罪と罰のブログ記事
罪と罰(ムラゴンブログ全体)-
-
先の記事で、自分の兄がひねくれていた事を書いたが、ドストエフスキー自身が、また、たいへんなひねくれ者で、底意地の悪い人間だったことを、付け加えておかなければ、嘘になるだろう。 兄は読んでいないが、罪と罰のラスコーリニコフも、悪霊のスタヴローギンも、そしてカラマーゾフのイヴァンも、見掛けはなるほど、... 続きをみる
-
わたしは、ブログに「尊敬する芸術家」として、小林秀雄を挙げているが、これは嘘偽りのないことで、ほとんど毎日、小林秀雄のことをかんがえない日は、ないくらいなのである。 だが、わたしは小林秀雄の本は、「おすすめ本」の中には2つしか入れていない。それも、主著ではない。これには訳がある。 前の記事にも、書... 続きをみる
-
「罪と罰」は、当時のロシアで大評判を取った、ドストエフスキーが一番成功した小説で、ドストエフスキーの中では、最も有名な、また題名だけでも、何かを暗示しているような感のある本なので、一度は読んでみようという気になる人が多く、実際、読まれているのだが、さて、最後まで読んで、あの強烈な感動を味わったとい... 続きをみる
-
罪と罰読みしと聞かばマンガでと答えし男虚ろなるかな カラマーゾフ読みしと訊かば大審問のみと答ゆる悲しかりけり 梅雨間近さかりのついた猫の声
-
「人間はどこでもいいが、どこか一つ行くところがなければ適わないものだ。」 これは「罪と罰」の中でマルメラードフという酔漢が、行きつけの飲み屋で、人に絡むときに、口癖にしている言葉である。 ドストエフスキーは、自身の重要な思想を、好んで変人や奇人の登場人物に喋らせる書き方をするのだが、これもその一つ... 続きをみる
-
食べられる木の実かどうか知らねども食欲そそる赤さなりけり 人間はどこでも良いが行く場所が無くては適わぬ生き物なりき 身にしみる言葉ありけり罪と罰
-
うつつなき世をたのもしと思ほはばマタイ受難を聴くことなかれ カラマゾフ十七の春炸裂す 暑き日の地下への降下罪と罰 真の実在というものに出会いたい それならモーツァルトのジュピターを聞き給え
-
小型爆弾と言ってよい本です。「罪と罰」の直前に書かれました。ドストエフスキーは人物としてはとても意地が悪く、付き合う人々を困らせずにはいない厄介な人である上に、至極純良な心を持っているというじつに複雑な心の持ち主でした。「ぼくは病んだ人間だ。意地の悪い人間だ。」という出だしで始まるこの小説は、その... 続きをみる
-
ある「罪と罰」の本の帯に、「ラスコーリニコフは、偶然、犯した第2の殺人によって自白する。」と書かれていた。だが、これは、大きな誤りであって、ドストエフスキーという詩人の思想を誤解するものである。「罪と罰」が感傷家によって、読まれた一例でもあるだろう。 こう質問してみよう。もし、偶然、リザヴェーダが... 続きをみる
-
-
「罪と罰」のラスコーリニコフは、自分で抱いた自由思想を全人格で実践した男である。そこには、何の妥協もないのであって、誰にも、それを止める力はなかった。そうして、凶行を遂げた後に、良心の呵責が容赦なく襲いかかっても、自由を追い求める彼の悪魔的な頑強な人格は、それによって、崩壊することはないのである。... 続きをみる
-
世界文学の最高峰に位置する小説です。作者が最も成功した「罪と罰」を越えていると言っていいでしょう。「罪と罰」も含めた、ドストエフスキーの後期の大小説群は、単に、長いからというのではなく、コスミックと言えるほどの大きさを持っているのですが、この書はその中でも、最も円熟した作品です。「カラマーゾフの兄... 続きをみる
-
セゴビアという名ギタリストがいた。ある友達がその人のことを当然のごとく絶賛しているのを聞き、早速買って聴いてみたが、良さがさっぱり分からなかった。1930年代くらいの古い録音で、多分SP番からの復刻だろう、録音状態の悪さもあって、何がいいんだろうと思っていた。それに、演奏自体も取っ掛かりのない弾き... 続きをみる
-
題名だけで、すでに何かを暗示しているような思いを抱かせますが、作者はこの有名な題名については、一言もその由来を書きませんでした。主人公の頭脳明晰で鋭敏だが、貧乏な大学生ラスコーリニコフは、自ら考え出した自由思想に呑み込まれるようにして、金貸しの老婆を殺害します。作品の最後で主人公は自白するのですが... 続きをみる
-