エッセイ 音楽の大きさ <小フーガト短調BWV578>
このオルガン曲は、わたしも、ご多分に漏れず、中学の音楽の授業で、初めて聞いたのだが、初聴したときの感想は、よく覚えている。
こんなに大きな曲なのに、なぜ、小フーガなどと「小」という題名がついているのだろうという違和感が先に立ったものだった。
4、5分ほどの曲に過ぎないのに、この圧倒的な大きさは、いったい何だろう。これがフーガというものかといった思いだった。
後年、パッサカリアとフーガハ短調で、再び、バッハという不思議な音楽家に、心底、震駭されることになるのだが、これは、それでも、その軽い予兆であったと言えるのだろう。
わたしは、小さい子どもには、クラシック音楽を聴かすべきではないというのが、持論である。彼らは、音楽を持て余し、別の考えや空想に走ったりすることだろう。そうして、果ては、クラシック音楽を憎むようにさえなるだろう。わたしは、そういう大人の幾人かを知っている。
音楽に関しての肥料は、わずかで足りるのである。
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