エッセイ きれぎれ草 113 <ゴッホ、人間>
ゴッホの絵は、非常に個性的なのだが、その自分の個性を誇るというような独りよがりな性質は、まるで見られない。
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むしろ、ゴッホの絵は、自分の強過ぎる個性と戦わざるを得なかった人の、いつ果てるとも知れない、生々しい自己超克の戦いの跡である。
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それが、単に、ゴッホの色彩の強烈さを追っただけの、凡百のカラリストたちとの決定的な違いであると、言って良い。
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人は、自分を守ろうとする人からは、自然と目を背けるものである。
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人を、謹聴させるような人は、自分のことなどはまるで考えもせず、ひたすら、ものそのものに迫ろうと、語るような人である。
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