エッセイ 踊りというもの 2 <変な人>
踊りが上手い男はモテる。これは、万国共通の現象だそうで、特に、女性は、イケメンで若くて踊りの上手い男となると、目がない。
現在の、韓国の人気グループを見ても、お分かりの通りである。ちなみに、あの人気グループのファンは、女性ばかりである。
ただ、世界的なアイドルという事では、ビートルズは踊らなかった。アイドルではないかも知れないが、ボブ・ディランもそうで、ロック・フォーク系は、総じて踊らない。
そういったところに、ファン層の違いが表われてくるようだ。
抑も、わたしの若い頃は、イケメンなどという言葉がなかった。自分の話で、恐縮だが、今流行のファミレスは、当時は、一人で入ったら、変人扱いされたものだった。
その当時の思い出だが、当時、わたしは午後からの仕事を持っていたので、早めに昼を済ませようと、まだ、閑散としている、あるファミレスに入って昼食を摂り、余った時間を、本を読んで過ごしていた。
そうしたら、ウェイトレスたちが集まって、何か声高に話し始めた。ややあって、「カッコ良くても、変な人は嫌だ。」とその中の一人が、仲間に向かって言った声が、こちらにもハッキリと聞こえた。
信じてもらえるかどうか、分からないが、わたしはその当時、自分が、女性からどう見られているかということを。考えたことがなかった。と言うより、実際、分からなかったのである。
わたしは虚を突かれたように、辺りを見回した。その振る舞いも、さぞ、彼女たちには滑稽に映ったことだろう。
そのとき、わたしは咳払いをしたように覚えているが、この記憶は曖昧である。咳払いにしても、もちろん、空咳である。(当時は、こういう場面になると、わたしはよく空咳をしたものだった。)
女の子たちから見れば、どうであっただろうか。ゲンナリというところであろう。
この頃から、わたしは、女性について、少しは賢くなっただろうか。どうも、大して変わっていないような気がして、ならないのだが。
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