エッセイ 実況録音と咳払い <ピアノ演奏>
ミケランジェリという名ピアニストがいたが、この人の実況録音の演奏が廉価で発売されていたので、買い漁ったことがある。
聞いて、まず、驚いたのは、観客たちの咳払いの激しさと、そうした雑音をまるで意に介していないように聞こえる、ミケランジェリの超然としたピアノ演奏である。
ほとんど、わざとしているのはないかと思えるような咳払いさえ聞こえてくる。当時、ミケランジェリは大きな名前であり、また、この人は、演奏をよくキャンセルすることで有名だったから、心理的に反発する観客も多かったろうと推測される。
ただ、演奏は、やはり素晴らしいもので、わたしはよく愛聴しているのだが、咳払いの激しさはどうにかならないものかと聞く度に思う。
最高のコンディションの名演奏というものは、なかなか無いものだと思う。
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