Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

エッセイ 象を虐殺した人々 <欧米批判>

欧米人は、大型の動物種に対しては、少なからぬ情愛を感じていると言われているが、じっさい、これは、表面上のことだけのように思われてならない。


昔は、鯨油を燃料として重宝し、鯨をどれほど乱獲していたか分からぬほどなのに、今となって、鯨を愛すとし、日本の鯨を食す文化に、文句をつけている。


象にも、受難の時代があったことを、ご存じだろうか。象は樹木を倒す性情を持っているのである。そこで、これも欧米の人々が、大切な木々を守れということで、樹木をなぎ倒している象たちに向けて、銃を乱射し、虐殺し続けた一時代が、あったのである。


後になってから、アフリカの90%の森林は、象が作ったという説が登場して、この蛮行はようやく止んだ。


なんという、短視眼な人々であるかと、呆れてしまうほどである。


こうした、事情は動物種にとどまらない。同胞であるはずの人間にも向けられずにはいない。


世界史を繙くと、欧米人種の人々が、いかに、アフリカ系または、アジア系の人々を人間扱いせずに、とんでもないことをしていたかが、具に、書かれていて、暗澹たる思いにさせられるのである。


渡辺一夫というような学者は、当時の世界で、多くの国に対して、いかに欧米人種が好奇心を持っていたかというような、説を成しているが、好奇心を持つことと、文明の力でその国を征服してしまうこととは、自ずから別事である。


西郷隆盛が、当時、欧米は文明国どころか野蛮国だと、百千論を排し、非難し続けたのは、じっさい、今日の目から見ても、正鵠を射ているのである。


今になって、人権大事と、他国に対して、大いに反省する風を見せているが、果たして、これは、そのまま信頼して良いものなのか、わたしは眉に唾をつけずには、いられない者である。


それだけのことをしてきた人々が、世界終末の日のことを、戦かずにはおられないのは、また、当然のことかも知れない。ルソーが口を極めて、人間は善良であれと言い続けたのは、欧米ならでは事情である。


従って、世界終末論というものも、わたしは欧米ならではの論として遇し、そうした考えになるのも、もっともなことであると、憫笑したくなるくらいである。