エッセイ 短歌の推敲 <恋歌>
夕日より思ひを焦がす赤やあるなほ燃えんとす君の唇
上記の短歌は、わたしが若い頃に作ったものを、若干手直しした歌である。
この以前は、
夕日より強くはげしき赤やあるなほ燃えんとす君の唇
であった。
推敲とは言ったが、果たして、どちらがいいのか決め兼ねているところである。こうした恋歌は、わたしは少ししか作っていないが、中には、この歌を気に入ってくれる人もいて、これでいいのかなとは思うのだが、自分としては、二句目の「強くはげしき」という語が、これでは二重形容ではないかと、気になるのである。
一度、古典文法に従って、夕日より激しかりける赤やあるとしようとしたのだが、語数は合ってはいるけれども、何か、表現力がずいぶん落ちてしまい、下二句にうまく続かないような気がして、止めにした。
やはり、元のままの方が、良いのだろうか。なかなか、自分では判断の付き難いところで迷っている。
今一度、見てみると、推敲した方は動詞のす音がぶつかっていて、後の方の「す」が弱くなってしまっており、あまりおもしろくない。ここは、
夕日より思ひ焦がせる赤やあるなほ燃えんとす君の唇
る音は、そんなに気になる音ではないので、これで、良いのかもしれない。
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