現代詩 摩周湖2
湖は静かだった
流れ入る川も
流れ出る川もなく
湖底からみずからの清らかな水を汲み上げていた
悲しみは溢れ出ることもなく
喜びは束の間のうちに消え去ることもなく
自足し満ち足りた生命の営みを続けていた
かつて
この湖から叡智が去ったことはない
ただ一つのことを
千の身振りで語ろうとする強靭な意志が
実現されるべき精妙な均衡であった
造化の神は
身を隠す術さへ心得ている
この語り難い叡智のさまは
見てはっきりと
感じられるようにできている
少年にも
少女にも
すべての人にわかるようにと
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