「天才」石原慎太郎
慎太郎の最近の著作です。慎太郎は自民党の中で青嵐会を組織し、角栄と対峙した人物であることはよく知られていますが、金権政治を批判こそすれ、人間としての角栄を見損なったことは、かつて無かったようです。ここで、慎太郎は角栄に成り代わり、角栄自身に自伝的な生涯を語らせる体裁を採って、物語っていきます。試みは果たして成功しているかどうか、微妙なところですが。およそ、角栄の天才性は、この書の末尾にある数ページほどの後書きに圧縮されているかに見えます。天才の内面に入り込むことは、如何に困難なことであるかを、物語っている書物と言っていいかも知れません。
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