エッセイ 「言質をとる」ということ
「言質をとる」のに躍起な人がいる。これは前に言っていたことと違うではないかと相手の矛盾を突き難詰しようとする、少々、意地の悪い人々であるが、このことを最も得意とする人は、けれども、考えてみると、旦那に対する奥さんということになるのだろうか。それとも、国会で質問しようとする議員であろうか。
ともあれ、言質をとるとは、相手を信用していないことの表明であるのは、その通りなのだが、ここには、ある微妙な人間関係の機微が隠れてもいるようだ。
一体に、男の言質をとる女というのは、どこの国でも見られる平凡な光景であるが、反対に、女の言質をとる男となると、何かそれこそ、女々しいと評していいようなものがあるようだ。
理は男が持っているものであって、女は感情の生き物ということになるのは、万国共通の事柄だろうか。それはともかく、言質は頼られるものの方が、とられるもののようである。男も女から、「言っていたことと違うじゃない。」と言われるようになれば、一人前というところだろうか。
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