Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

エッセイ アラン「幸福論」考2 <人生の奥義>

アランの「幸福論」は、簡潔で、また物事の急所をよく突いた文章が、散見できるのだが、その中でも圧巻なのが、人生の奥義とでも言うべきものを語るところであろう。


アランは言う。「人生の奥義とは、自分が本当に得たいと思っているものを欲することである。」と。アランは、続けてこう言う。「わたしが言うのは、本当にということである。」「出世したいと思っていたのに、上司と衝突しなかったか。金持ちになりたいと思っていたのに、浪費しなかったか。哲学者になりたいと思っていたのに、勉学を怠らなかったか。」


本当に得たいものとは、じつを言えば何でも良いのである。肝心なのは、欲するという動機である。悟りを得たいという人もいるだろうし、真理を得たいという人もいるだろう。それよりも何よりも、金が欲しいという人もいるだろう。それはそれで構わない。何よりも大切なのは、なにものかを欲するという動機である。


そこでこそ、人生というものが劇場となるのである。