「罪と罰」ドストエフスキー <覚めてみる鮮やかな悪夢>
題名だけで、すでに何かを暗示しているような思いを抱かせますが、作者はこの有名な題名については、一言もその由来を書きませんでした。主人公の頭脳明晰で鋭敏だが、貧乏な大学生ラスコーリニコフは、自ら考え出した自由思想に呑み込まれるようにして、金貸しの老婆を殺害します。作品の最後で主人公は自白するのですが、彼には、最後まで自ら犯した犯罪についての反省的な心の動きはないのです。それでは、ラスコーリニコフにとって「罪」とは何か「罰」とは何か。未だに、現代の最先端の思想を内包し続ける、不滅の感動を呼ぶ問題作。世界文学の最高峰に位置する作品です。
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