Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

エッセイ 俳句考 <高浜虚子>

最近、俳句がとても人気である。理由は色々であろうが、この寡黙すぎる文芸が、注目を集めているのは、慶賀すべきことである。形式をしっかりと持ち、季を愛でる文芸であることが大きな要因のように思われるが、俳句が詩歌に間違いないことは、こと改めて言う必要はないであろう。ただ、俳句を現在のような形で、残しておいてくれたのは、高浜虚子という俳人であったということは、言っておきたい。


文明開化に急だった当時、自由律俳句なるものの勢いが盛んで、俳句などという古くさい文芸は壊して、新しくしてしまうのがいいと、しきりに俳句形式を攻撃する運動が渦巻いたことがあったのだが、非常な洞察力で、俳諧文芸の本質を見抜き、五七五と季語という俳句形式を守った、先見の明を持った俳人は、高浜虚子一人だったのである。


こういう人が、一人でも現れたということは、後世の日本人にとってはとても幸運であったと言える。日本という国は、ここぞというときに、こうした有難い人が出てくれる。思えば、不思議な国である。