Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

「哲学入門<思想と動くもの>」ベルクソン 岩波文庫

ベルクソンは言葉による解決を放棄してから、哲学を始めたと言っています。この書は、西洋哲学を総覧した著者が、なにゆえ哲学は、さまざまな学派に分かれなければならないのかという盲点をするどく突き、言葉による概念上の分析が、そのことに深く関わっている様をあぶり出していきます。言表不可能な直観を哲学の第一義に置くとき、哲学のシステムは一つで足りるとしたベルクソンのもっとも基本的な思想が、分かり易く説かれた、ベルクソンの哲学への最良の入門書です。その後の哲学は、ベルクソンが抱いたこのような理想から遠く離れました。