エッセイ 良書について
良書には、正解はない。その代わり、よくよく吟味された問いがある。
〇
何かにつけ、正解を求めずにいられない人は、まだ、学校を卒業できずにいる人である。
〇
本を読みたいが、何を読んだら良いのかわからないというのは、今の多くの人の悩みのようである。岩波文庫は一部を除いて、新潮文庫はある本を除いて、角川、文春、講談社、PHPなどの文庫のある本には、とても良い本がある。まずは、自分にとって、これはという著者を見つけるのが、もっとも良いのかもしれない。ただ、物事について、問いを深めていくような考え方をする人は、自然と良書というものに辿り着くもののようである。
〇
問いが、先に来なければならない。答えは、ずっと後回しで良い。本源的にまで、問い詰められた問いというものは、ベルクソンが言うように、問いそのものが、そのまま答えとなるようなものである。
〇
それから、良書をどのように読んだらいいのかという問いも、答えのない問いの一つであるが、わたしは、これはという本は、繰り返し読むことをおすすめしたい。一度だけ読んで、ああこれは良いと思い、後は放ってしまい、他の著者の本に移っても、その人にとっては、あまり意味はなさないようである。再読してみると、こんなことが書かれていたかと驚いたり、ここはどうしても納得がいかぬというところが出て来たりして、その人自身の問いが深まる、よい機会のように思える。
〇
ショーペンハウアーは、本はせめて二度読むこと、また、新刊本で良いと言われている本は、一年ほど経ってから、読むことを薦めている。わたし自身振り返ってみて、なかなかできないでいる忠告であるが、良書にとっては、とてもよい教訓なので、掲げておきたい。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。