「地下室の手記」ドストエフスキー 新潮文庫
小型爆弾と言ってよい本です。「罪と罰」の直前に書かれました。ドストエフスキーは人物としてはとても意地が悪く、付き合う人々を困らせずにはいない厄介な人である上に、至極純良な心を持っているというじつに複雑な心の持ち主でした。「ぼくは病んだ人間だ。意地の悪い人間だ。」という出だしで始まるこの小説は、そのドストエフスキーの露悪的な面が存分に発揮されたロシア風の私小説と言っていいものです。ニーチェはこの小説を、人生の中で出会ったもっとも衝撃的な本の一つとして挙げています。強烈な毒を持った本です。
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