現代詩 燃えあがる月
幼いとき
月と太陽は同じものだと思っていた
昼はさんさんと輝き
夜になると静まり微光を放つ
そんな芸当ができる天体を
ぼくはただただすばらしいと感じていた
それでは
昼と夜の区別はどうつけているのか
当時のぼくにはそれが説明のつかない難問だった
あるとき
ぼくは真昼間に月を見た
夜見るよりも白っぽかったがそれは月に間違いなかった
自分の単純な思い込みはあっさりと一蹴された
ぼくはなんとなく学問してしまったような気がしたが
自分の思い込みはそれなりに気に入っていた
朝
東の空に昇るとき
燃えあがる月
夜になってもそれは燃え続け
人類は欠けることのないおだやかな天の松明を得る
今のわたしにとっては貴重な妄想である
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