「恋愛論」スタンダール 新潮文庫
スタンダールは時代を越えてはじめて、その本当の価値が分かると言われるほどの普遍精神の持ち主でした。ただ、フランス人は非常に計算好きな国民性を持っていて、スタンダールもこの恋愛論の中で、恋愛を様々なタイプに分析、分類し、これ以外の恋愛というものは有り得ないということを言っています。有り得ないかどうかはともかく、国民性の為せる業のように思えます。スタンダールは、恋愛を大きくウェルテル的な恋愛とドン・ジョヴァンニ的な恋愛とに分け、ウェルテル的な恋愛の方が幸福が大きいだろうと言っています。「孤独の中ではあらゆるものが手に入る、ただ性格を除いては。」というような秀抜な箴言も見られます。卓越した恋愛論です。
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