君は孤高の兎かい
悲しいひとみをしているね

そんなにピンと耳を張って
なにを聴こうというんだい

そんなにじっと空を見て
何が見えるというんだい

聴こえてくるのは天の声
けれど　誰にもしゃべりません

見えてくるのは天の衣
けれど　誰にも着られません

これはたいしたファンタジストだ
それで、神様も見えるのなら
きっと月へも行かれるさ

皮肉はからだに悪いもの
言う人にも言われる人にも
差し引きゼロがお望みなら
わたしは姿を消しましょう。

誤解しないでくれ給え
ぼくは、認識を尊ぶ経験主義者に過ぎないが
単なるシニシストでは、断じてないのだ。
 
ならば、わたしのあとに
従いておいでなさい
わたしは、天使の侍女に過ぎません。
完き認識がお望みなら
主人にお引き合わせてご覧にいれます。

ぼくは、イデアリストもリアリストも、結局
同じ人間であると考えている
同様に、ストイシズムとエピキュアリズムも
そういう人間にとっては
天使とは、畢竟、堕天使の悪魔の異名に過ぎない。

悪の力を自家薬籠中のものにできないような天使は
天使ではありません
あなたには信じる心が欠けている
お引き合わせすることはできません

うさぎよ、天使の侍女よ
お願いだから、消えないでおくれ
ぼくを救ってくれ
ぼくを遠くに連れて行っておくれ

あなたは、この世の懐疑の夢を見ておいでです
どうぞ、お目覚めなさい
そしてうららかな目で世界を見ることを学びなさい
なにものとも取引することを望まないで
果てまできたらまたお会いしましょう
あなたの生が死と接する
そのときまで

それでは