Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

エッセイ 民主主義というもの <国体の成熟>

民主主義について、日頃かんがえていることを、少し、書いてみたいと思う。


民主主義政権が善で、独裁主義政権が悪だという、二元論的な図式には、わたしは与しない。地政学的な見方も、ひとつの視点というものを出ないもののように思っている。


わたしが注目したいのは、ある国が、国体として整っているかどうかということである。整い方にも色々あるが、その中でも、もっとも肝心なのは、国が、国体として、成熟しているかどうかということだと、思っている。


その点、日本は国体として、もっとも成熟している国のひとつと見て良いと思う。


民主主義とは、古代ギリシアがそうであったように、とても観念的な、言わば、頭でっかちな政治思想だとかんがえる見方がある。これは、ひとつの見方だが、けっして蔑ろにして良い見方ではないので。


たとえば、権力を民衆にという、それはそれで良いとしても、では、その国は、誰によって、治められることになるのか。


皆が皆、権力を主張し合って、一体、国が治まる秋があるのだろうかという疑問は、とうぜんながら湧くし、特に、国が成熟していないところでは、権力争いが絶えず、国が一向に安定せず、世界に紛争の種を撒いているのは、誰の目にも、明らかなところであろう。


こうした国として、未成熟な国にあっては、民主主義政体とは、徒な難問ではないのかという疑問さえ湧いてくる。


ある国は、民主主義政体を絶対的な価値として、他国に押し付けようとする。それに耐えられる国は良いとして、そうでない国にあっては、ただのありがた迷惑というものではないのか。自国の政体を絶対的な価値として、他国にも及ばそうとすることは、本当に良いことなのかと、わたしは深く疑う。


自分の意見は、そのまま開陳し、主張して宜しい。その代わり、他人の意見や主張も同じ価値を持ったものとして、受け取り給え。こうした主義は、成熟した社会でこそ、通用する思想である。


民主主義政体を自負している日本でさえ、本当に板に付いているのか、定かならないようなむずかしい政治思想なのである。


さて、これから、世の中はどの方向を向いて、進んで行くことになるのだろうか。