閑話休題 漢字のこと <簡単だが、おかしな漢字>
たとえば
誰でも知っている「省」という漢字、これは日本語では、音二つ訓二つ合わせて四つの読み方があるのだが、すべて言える人は、結構稀で、むしろ漢字を習っている小学生の方が言えるくらいである。
正解は、皆さん方に、少し、考えてもらいたいので、後回しにしたい。
それから、
「素敵」という漢字、
なぜ、素の敵が「すてき」ということになるのか。これは辞書を引くと分かるのだが、倒語というもので、当て字なのである。本来は「出来過ぎ」という言葉なのだが、それが変化して「すてき」となり、それに「素敵」という漢字が当てられたのである。だから、この言葉は、「素的」と書いても、「素適」と書いても、じつは、間違いではないのである。
だが、学校教育では、「素敵」という漢字しか通用しないようであるが。
もう一つ、付け加えると
正義の味方の「味方」という漢字、
なぜ、また、「味」という漢字が使われているのか。これは元々、自分の方という「方」に「み」という接頭語が付いた形で、だから、「御方」でも、「身方」でも、間違いではない。だが、学校教育では、こう書くと、バツとなってしまうだろう。
それで、上記の「省」の正解は、
訓は、
省く(はぶく)
省る(かえりみる)
音は、
ショウ
セイ
である。
どれも、よく使う言葉ではあるが、こんな風に、問題として出されると迷う漢字の代表で、すべて答えられた方は、すばらしいと言えるくらいである。
勘の良い方は、お気付きだろうが、「はぶく」も「かえりみる」も「ショウ」も、まるで異なった意味合いのことばなので、戸惑うのである。「かえりみる」と「セイ」だけが、ようやく意味が重なっている。
漢字とは、とても面白い言語なのだが、また、しごく厄介な言語でもあるようだ。
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