エッセイ ことばに頼らずに書くこと
これは、やや高度なことばの使い方であるが、詩や短詩型や絵などを創作するような方は、覚えておかれると良いと思うので、少し書いて見たい。
たとえば、こういう言い方をするとする、
しなやかな生き方
簡潔で、一見、良いように見えるが、じつは瑕瑾がある。ことばの意味というものに、頼り過ぎている言い方なのである。だから、よくよく吟味してみると、具体的なイメージはあまり湧かず、ことばだけが前面に出過ぎ、格好だけつけたようなことばになってしまっている。
つまり、ことばに頼り過ぎた言い方、なのである。
では、どうすれば、こうした言い方から、抜け出せるのか。「しなやか」であれば、そのことばをわざと避けるのである。そのことばを書かないようにして、文章の上で、しなやかさを表現すること。
これは、かなりの表現力を要する書き方ではあるが、挑戦してみると、思いの外、大きな収穫が得られるものなので、おすすめする次第である。
これは、じつは、岡倉天心が絵画で「月を描かずに月を表せ」と言った事の、言わば、文章版である。
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